研究課題/領域番号 |
09275219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
嶋田 拓 広島大学, 理学部, 教授 (70011559)
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研究分担者 |
中坪 敬子 広島大学, 理学部, 助手 (40192760)
赤坂 甲治 広島大学, 理学部, 助教授 (60150968)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | バフンウニ / 形態形成 / 転写因子 / HpOtx / HpEts / HpHox8 / HpLim1 |
研究概要 |
Otxは、ショウジョウバエの頭部形成転位因子Otdのマウスホモログとしてクローン化され、マウスでも脳の形成に働くことが知られている。我々は、ウニ胚の体軸(口側-反口側軸)形成に重要な役割を持つアリールスルファターゼ(Ars)蛋白質の転写調節にウニOtx(HpOtx)が働くことを明らかにした。その結果、脊椎動物の形態形成に働く転写因子が同じ新口動物系列で脊椎動物より下位にある棘皮動物の形作りにどのような役割を担うかに興味を持ち、形態形成に関わる転写因子機能の進化を考えるため本研究を企画した。 本年度はバフンウニからEts(HpEts)cDNA、HpHox8 cDNA、およびHpLim1 cDNAをクローン化し、強制発現実験を中心に、ウニ発生におけるこれら脊椎動物形態形成転写因子の役割を調べた。強制発現はmRNAをバフンウニ卵に顕微注入し、卵を受精させて発生させ、正常胚の原腸期に相当する時間後、発生異常を観察した。胚葉の同定は、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉に特異的に発現する蛋白質に対する抗体を用いた全載標品の免疫染色によった。 (1)HpOtxの強制発現はウニ胚の反口側外胚葉化を生じた。 (2)HpEtsは母系mRNAであり、mRNAをプローブとするホールマウントインシツにより胞胚期にはHpEts mRNAは一次間充織細胞になる大小割球系列細胞にのみ検出された。HpEtsを強制発現させたウニ胚は、胞胚が崩れて全細胞が一次間充織細胞となり、仮足をだして運動した。この細胞を馬血清存在下で培養すると骨片を形成した。これらはすべて一次間充織細胞の特徴である。HpEtsを強制発現させた胚では、中胚葉性の一次間充織細胞特異的な抗原のみが検出され、外胚葉と内胚葉の抗原は検出されなかった。 (3)HpHox8の強制発現はウニ胚の反口側外胚葉化をもたらした。 (4)HpLim1の強制発現により、胚細胞は口側外胚葉化した。 この結果、脊椎動物の形態形成転写因子が棘皮動物の形態形成にも関わることがわかった。
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