研究概要 |
本研究では,ER-60プロテアーゼによる正常・異常タンパク質の認識及び活性調節機構を解明することにより,小胞体におけるタンパク質の品質管理の様相を明らかにすることを目的とした. アポリポプロテインB(アポB)はリポプロテインVLDLの構成タンパク質であり,その肝細胞からの分泌量は小胞体での分解によって調節されている.小胞体に局在するER-60プロテアーゼがこの分解を支配していることを証明するために,アポBとER-60プロテアーゼの会合の有無を解析した.[^<35>S]メチオニンで標識したHepG2細胞をタンパク質架橋剤で処理した後、1%NonidetP-40でタンパク質を抽出した.抗ER-60プロテアーゼ及び抗アポB抗体を用いて抽出液の免疫沈降を行い得られた沈降物をSDS-PAGEで分離後,ウエスタンブロティング及びフルオログラフィーで分析した.これにより,抗ER-60プロテアーゼ抗体によってアポBが共沈することまた抗アポB抗体によりER-60プロテアーゼが共沈することを明らかにした.さらに,小胞体内腔に局在する分子シャペロンBiPに対する抗体でアポBとER-60プロテアーゼが共沈することから,アポBは生合成後ER-60プロテアーゼ及びBiPと会合することを明らかにした.
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