イヌ膵臓から単離、精製した小胞体の粗抽出液中に、ヒト由来の細胞質性DnajホモログであるHsp40に対する抗体と反応する、分子量約40Kのバンドを見出し、そのN末端アミノ酸分析からバクテリアのDNAJホモログと相同性の高い配列があることが判明した。更に、電気泳動後にバンドを切り出して、リジルエンドペプチダーゼ消化し、その分解産物を逆相カラムクロマトグラフィーにより分画し、いくつかの内部アミノ酸配列を決定した。そのうちの一つは、酵母小胞体の可溶性DnajホモログであるScj1pと部分的に似ていた。そこで、N末端配列とこの内部配列を元にオリゴヌクレオチドを作製し、市販のイヌ肝臓のcDNAライブラリーををテンプレートにPCRを行った。しかし、顕著なDNA断片の増幅は認められなかった。次に、N末端配列を元に作製したオリゴヌクレオチドをプローブとしてスクリーニングを行うことにした。市販のイヌのcDNAライブラリーはマウスやラットに比べて需要が少なく、問題があるかも知れないので、まず、新鮮なイヌ肝臓を用いてmRNAを抽出して、1Kb以下を除去してからcDNAライブラリーを作製した。約40万個をスクリーニングし、3個のポジティブなクローンを得た。最終的には、2種類のクローンがあった。一つについては、シークエンスの結果、プローブと一致する配列が見つかったが、目的とするものではなかった。もう一つについては、シークエンスの途中であり、今のところ、プローブの配列は見つかっていない。
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