転写制御の中で、基本転写因子の一つであるTBPは様々な因子と相互作用し、この結果転写制御機能を通して種々の生命現象に関与する。TBPと結合する因子を検索し複数のTBP結合性蛋白質;TIPを見い出したが、この内TIP120について詳細に検討した。TIP120は1230アミノ酸からなる既知のモチーフを持たない新規蛋白質であった。実際にTBPと結合することができ、また細胞内でもTBPと複合体を形成していることが明らかになった。再構成転写系によってTIP120の機能解析を行ったところ、TIP120がRNAポリメサ-ゼII系遺伝子の転写化因子であることが明らかとなった。さらにゲルシフト解析により、活性化は(活性化型)転写開始複合体形成形成功率の向上であることが示唆された。TIP120を含む複合体の中にTBP以外にも、RNAポリメラーゼIIが含まれており、さらに新規のDNAヘリカーゼも存在し、この因子が核内高分子複合体として存在することが示唆された。細胞を抗体で染色しその存在様式を検討したところ、TIP120は遺伝子発現に関連すると考えられる核内構造体の一つPODの中に含まれており、上の仮説は支持されると考えられた。
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