研究概要 |
本研究では以下の4点に焦点を当て、核内レセプターの高次機能を明らかにする目的で標的組換えマウスを用い解析を行った。また核内レセプターの細胞核内での機能を明確にする目的で、核内レセプターのリガンド結合による構造変化の解析、及びこの変化を認識する共役因子の同定を行なった。 1)脂溶性ビタミンレセプターの高次機能の解析:脂溶性ビタミンDレセプター(VDR)は1種、ビタミンAには6種のレセプター(RARa,b,g及びRXRa,b,g)が存在する。VDRはホモ2量体もしくはRXRa,b,gのいずれかとヘテロ2量体を形成し、ビタミンD標的遺伝子の転写を制御する。このVDR KOマウスは授乳期以降にのみ障害を示すことが明らかになった他、性生殖系に障害がみられ、全く予期されなかった表現型がみられ更に解析を進めた。 2)核内レセプターのリガンド結合による構造変化:核内レセプターはリガンド結合により転写促進能を得るが、この際レセプターの立体構造変化を伴うと考えられている。特にレセプターN末端とC末端に存在する2箇所の転写促進領域はリガンド結合依存的な機能上の相互作用が予想されている。そこでERのAF-1、AF-2の相互作用をyeast、mammalian two-hybrid法にて検討し、さらに相互作用する領域を同定した。 3)核内レセプターの共役転写因子の検索:ER、VDR、アンドロゲンレセプター(AR)、ミネラルコルチコイド(MR)のAF-1、AF-2をプローブに、yeast two-hybrid法にて各種cDNAライブラリーから共役因子を検索した。特にER、ARのAF-1蛋白を細胞内で大量発現させ、結合する核内因子を生化学的に精製した。 4)細胞周期と核内レセプター機能との相関:ER及びARの、AF-1とAF-2への細胞周期特異的なキナーゼ(サイクリン/CDK等)によるリン酸化の可能性を探った。
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