研究課題/領域番号 |
09277209
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西郷 薫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50136454)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | ショウジョウバエ / 肢形成 / Bar / dpp / Distalless / Aristaless |
研究概要 |
ショウジョウバエの肢形成は、hedgehog,winglessといった位置情報を担う因子、その下流で円環状に発現する一連の転写制御因子、及びその他の因子の複雑な共同作業に基づいている。我々は、この機構の基本を理解するために、肢原基で円環状に発現するホメオボックス遺伝子Barの転写調節機構および機能を調べている。ホメオボックス遺伝子Barの発現は3齢初期の肢原基で始まり、少なくとも二段階の転写制御を受けていた。初期発現(発現のイニシエーション)は、位置情報や既に場で発現している他の転写制御因子により支配されていた。位置情報因子dppの効果をその受容体thickveinの変異のモザイクを作り調べた。技術的な問題もありまだ最終的な結論には至っていないが、Barは、その発現の内側(中心側)ではdppシグナルにより負に、その外側では正に制御されていた。初期のBarの発現には、胚期から肢で発現しているホメオボックス遺伝子Distallessの活性が必須であった。また、3齢初期以降Bar発現領域の外側で発現しているDackshundは、Barを負に制御し、反対にDackshundの発現は、Barにより負に制御されていた。この様なBarの初期発現とは、独立にほぼ時を同じくして別のホメオボックス遺伝子AristalessがBar円環の内側で、一部Bar発現領域と重なる形で発現を始める。しかし数時間の内にBarとAristalessの発現は完全に排他的になり、Aristalessの発現するPT区画とBar特異的なTS5区画の境界が確定する。遺伝子発現のモザイク分析の結果、Bar及びAristalessを同時に発現する細胞内で、BarとPT側の因子が互いに互いの発現を抑制し、かつ自分自身の発現を活性化させることが分かった。aristalessは、ホメオボックス遺伝子ではあるがその相互抑制に対する寄与は小さく、新たにclawlessなる遺伝子変異が同定された。
|