研究概要 |
1。TFIIFは、転写の開始/伸長因子である。この両反応過程でのIIF機能を知るためにRAP74サブユニットと相互作用しその機能を制御する蛋白質をスクリーニングした。酵母の2-ハイブリッド法によってRAP74の中央ドメインと特異的に結合する蛋白質p32を得た。p32は、核内にもわずか存在したがほとんどがミトコンドリアマトリックスに存在すること、p32のホモログは、ヒトのほかにマウス、線虫、酵母でも認められること、酵母p32ホモログ-p30と命名-のノックアウト株は、呼吸機能の障害がおこりp30がミトコンドリア機能に重要であることがわかった。p32はIIFのほかにも核内蛋白のIIB,ラミン、エイズウイルスの転写因子Tatとも相互作用するので核内転写を制御する可能性もある。事実、in vitroアッセイ系を用いて転写伸長活性への影響をテストしたところ、p32がIIF活性をTat共存下で促進させる結果を得た。今後、この解析とともにRAP74の他のドメインと結合するクローンのスクリーニングを続ける。 また、RAP74のC-末欠失タンパクを強制発現させ、in vivoでの転写活性を見るために、発現プラスミドを作製した。 疾患におけるIIF機能の関わりを知る一端として自己免疫疾患患者の血清を調べることでSLEをはじめとする患者にRAP74に対する自己抗体が存在することを見い出した。 2。核に存在する細胞障害チェック機構であるDNA依存性リン酸化酵素が、TBP,IIBをリン酸化することがわかった。IIFのリン酸化は明らかではなかった。TBP,IIBのリン酸化による転写基本活性調節を明らかにした。
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