研究概要 |
哺乳類のシグナル認識粒子(SRP)は、SRP RNAと6種類の蛋白質から構成される。SRP RNAは機能上、4ドメイン(I〜IV)からなる。大腸菌4.5S RNAは114残基で、哺乳類SRP RNAのドメインIV及びIIの一部に相当し、生体内ではSRP構成成分のFfhと蛋白質膜透過に関与する一方、蛋白質合成伸長因子EF-Gとも結合能を有し、蛋白質合成にも関与する多機能分子である。 本研究では、4.5S RNAの両過程における必須機能ドメインについて解析を行うため、種々の変異を導入した4.5S RNAについて、大腸菌4.5S RNA条件欠損株S1192株における成育回復活性及び蛋白質結合活性について解析を行った。真正細菌SRP RNA間でよく保存されている22残基(+43〜+65)を含むドメインIV領域への変異ではいずれも成育回復活性、蛋白質結合活性はともに減少したが、特に、A47,G48,G49,A60,C62,A67への変異では機能低下は著しく、両蛋白質への結合能は野生型の10%以下であった。これら6残基は2次構造上、バルジ構造を形成していると推測されたが、このバルジ構造を欠失させた変異体では、機能は完全に失っており、蛋白質との結合能も消失していた。一方、末端22残基(+43〜+65)のみから構成される変異体は、野生型の約60%の回復活性を有していた。 以上の結果から、Ffh及びEF-Gはともに4.5S RNA上の高度に保存された領域中に存在するバルジ構造を認識し4.5S RNAに結合すること、また、4.5S RNA機能には蛋白質の結合が必要であるが、2つの4.5S RNA結合蛋白質は独立に4.5S RNAと結合し機能していることが示された。
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