研究概要 |
単球細胞の分化・成熟過程、血管内皮細胞への接着を介する炎症部位への浸潤は、癌細胞の浸潤・転移過程を解析するモデル系として注目されている。また、それ自身、粥状動脈硬化の発症機序の解析とも相まって注目される。これらの過程には、インテグリンを介する細胞接着が重要な役割を果たす。我々は、インテグリンジグナル伝達に、インテグリン裏打ち蛋白質の一つであるパキシリンが非常に重要な役割を果たすことを示し、さらに最近、単球芽細胞及び癌細胞に強く発現する新規アイソフォーム(β,γ)を見い出している。 本研究では、まず、β,γアイソフォーム特異的やモノクローナル抗体作成を行い、抗体を用いて、組織におけるそれらの発現を検討した。その結果、これらのアイソフォームはαアイソフォームとは異なり、正常や組織には殆ど発現していないが、発生途上の神経堤細胞や、運動性の高い細胞に発現していることを明らかにした。 γアイソフォーム遺伝子エキソンはヒトに存在しマウスには存在しないことを明らかにし、さらに、単球芽細胞の成熟に伴いその発現量は増加するが、γアイソフォームに特異的に結合する蛋白質を成熟単球細胞抽出液において検出することに成功し、現在、その分子クローニングを進めている。
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