研究課題/領域番号 |
09281219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 血管平滑筋細胞 / 増殖 / cGMP / ナトリウム利尿ペプチド / ホメオボックス / キナーゼ / 細胞周期 |
研究概要 |
これまで我々は、ナトリウム利尿ペプチドがcGMP系を活性化しvascular growthに対して抑制的に作用することを明らかにした。更に、ナトリウム利尿ペプチドの一つであるCNPが血管内皮細胞において生合成されることを明らかにし、CNPがNOと並ぶペプチド性のEDRFであることを証明し、“血管壁ナトリウム利尿ペプチド系"という概念を提唱した。最近、CNP遺伝子組み換えアデノウイルスを構築し、培養血管平滑筋細胞にCNP遺伝子を導入し過剰発現させることでcGMP系を活性化すると、増殖がGl期で停止するとともに、再分化が生ずるという新しいcGMP系の作用を報告した。更に、心血管系特異的ホメオボックス遺伝子であるGaxがcGMP系の活性化によりその遺伝子発現が亢進することも報告し、cGMP系において転写因子Gaxという新しいシグナル伝達経路が存在する可能性を提示した。本年度は、cGMPカスケードにおいてcGMP産生よりGax発現亢進に至るシグナル伝達経路を明らかにするため、我々が既にクローニングに成功したヒトcGMP依存性プロティンキナーゼ(Gキナーゼ)タイプIαについて検討した。すなわち、GキナーゼのN端部の二重化ドメイン、cGMP結合ドメインを欠失させたミュータントを作成し、βアクチンプロモーター、サイトメガロウィルスエンハンサーを有する発現ベクターを構築した。Gキナーゼ特異的基質を用いたin vitroのGキナーゼkination assayを確立し、このミュータントGキナーゼがcGMPを必要としない持続活性型constitutive activeであることを明らかにした。更に、このミュータントGキナーゼ発現ベクターを用い、培養血管平滑筋細胞の遊走、増殖が著明に抑制されることを明らかにし、cGMPカスケードによる血管平滑筋細胞のフェノタイプ決定におけるGキナーゼの関与を証明した。更に、CNP-cGMP-Gキナーゼ-Gaxに至る血管平滑筋分化決定におけるシグナル伝達経路においてcyclin/CDK complexの抑制因子であるp21^<CIPl>の関与を明らかにした。
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