配分額 *注記 |
35,100千円 (直接経費: 35,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
1997年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
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研究概要 |
金属ナノワイヤを超高真空電子顕微鏡内で作製し、高分解能像を撮影して構造を調べた.また,計算機シミュレーションによって高分解能像の解析を行った.これらと平行して2つの電極の間にできるナノワイヤの電気伝導の量子化について計測を行い,構造と電気伝導の関係を探った.金のナノワイヤについては,太さが1nmより細くなると固体とは異なるナノワイヤ独自の構造が現れること,その構造が炭素ナノチューブと類似な多層チューブ状構造であることを解析し,各々の管にはある決まった数の金原子列が螺旋を描いていることを解析した.管を構成する決まった数の原子列を,"魔法数"とすると,直径0.6nmの最も細いワイヤは7列,その次に太いナノワイヤは11列,その次は13列という魔法数を最外穀のチューブが持つことが確かめられた.白金のワイヤも,細くなると固体とは異なる構造を持つことが観察され,金ナノワイヤと類似した顕微鏡像を示すが,同じ構造であるか否かについては結論が出ていない.金の原子が4つ連なった中空に張られた単原子列ワイヤの顕微鏡像について,観察された構造が間違いなく金の単原子列であり,hollow-centerのサイトで両電極に繁がっていることを計算機シミュレーションで明らかとした.電気伝導の研究では,鉛のナノワイヤを2つの電極を接触させて作製し,電気伝導が量子化されること,ならびに量子化電気伝導の単位2e2/h(=1/(13kΩ))の半整数値が現れることを明らかとした.この量子化ワイヤの構造と電気伝導の関係は,電子顕微鏡観察が出来ていないので,この研究の中では明らかに出来なかった.以上をまとめると,金属ナノワイヤは固体とは異なる構造をもつこと,半整数値の量子化電気伝導も示す可能性が明らかとなった.しかし,構造と電気伝導の関係については今後の課題として残された.
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