研究分担者 |
筒井 智樹 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (70240819)
金嶋 聰 (金嶋 聡) 東京工業大学, 理工学研究科, 助教授 (80202018)
須藤 靖明 京都大学, 理学系研究科, 助教授 (40025466)
大湊 隆雄 東京大学, 地震研究所, 助手 (70322039)
橋本 武志 京都大学, 理学系研究科, 助手 (70283588)
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配分額 *注記 |
34,500千円 (直接経費: 34,500千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1997年度: 23,300千円 (直接経費: 23,300千円)
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研究概要 |
本研究では,基本周期15秒という特異ともいえる阿蘇火山の長周期微動源の物理的実体と噴火活動における役割の解明を目指してきた.研究期間中に阿蘇山の噴火活動がなかったため後者の目標を達成することは出来なかったが,静穏期の観測研究から阿蘇山の火口直下の構造と火山性微動の発生様式の理解が進み多くの成果を得ることが出来た. 研究は火山における広帯域地震観測を一つのキーワードにし,複数の短周期アレイ観測,電磁気探査など様々な観測を行うと共に,噴火が起きた場合に備えての準備観測を平行して行った.成果を列挙すると,(1)稠密広帯域地震観測から微動の振動源の幾何学的形状(亀裂状の構造)を明らかにした.活動的火山の火口直下にこのような構造が地震学的に明らかにされたのは初めてのことである.(2)電磁気探査のデータ解析から,火口直下1kmあたりに低比抵抗層の存在を明らかにした.長周期微動の振動源を帯水層における熱水活動とした当初の予想と調和的な結果である.阿蘇火山では定常的な噴気活動が行なわれていることも考えると,これらの結果から,火口直下1km辺りに存在する帯水層において地下水/高温ガス/マグマなどの接触などによる熱水反応によって長周期振動が生み出されそれに伴って帯水層周辺に存在する亀裂群(亀裂・弱面の集合体)が開閉および膨張・収縮を繰り返しているという鮮明なイメージが浮かび上がってきた.(3)1994年に得られたデータの最解析をし,水蒸気爆発時にはその直前に長周期振動源が膨らみ,水蒸気爆発の準備段階が広帯域地震計で観測可能であることを示した.(4)短周期地震計アレイデータの解析から,短周期微動が長周期微動の励起源であることや,亀裂状構造から地表の噴気孔への流体の流れが明らかになりつつある.これらの成果は5編の英文論文として公表されている.
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