研究分担者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (70313195)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251411)
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20241771)
伊佐治 鎭治 (伊佐治 鎮司) 千葉県立中央博物館, 地学研究科, 学芸員(研究職) (40280747)
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長(研究職) (20124183)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50160487)
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配分額 *注記 |
28,800千円 (直接経費: 28,800千円)
1999年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1998年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1997年度: 20,600千円 (直接経費: 20,600千円)
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研究概要 |
1.比較解剖学・発生学的研究 二枚貝類に関する研究:棚部は指導学生の早風と共同で、現在二枚貝ムラサキガイの幼生殻形態を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、二枚の石灰質の殻の形成に先行してトロコファー幼生中期に楕円形の一枚の有機質の原殻Iが最初に形成されることを確認した。有機質でできた1枚の楕円形の殻は、他の軟体動物単の発生初期にも確認されることから、貝殻亜門の共有派生形質の一つと解釈される(Hayakaze & Tanabe,1999)。 頭足類に関する研究:棚部は鳥羽水族館の内山公夫氏と共同で、原始的軟体動物頭足類オウムガイの初期胚殻の形態・構造が鞘形類やアンモナイト類のものと大きく異なり、むしろ原始的軟体動物の単板類と類似性があることを明らかにした(Tanabe & Uchiyama,1997)。また、棚部と伊佐治はオウムガイの中期胚の体管組織を透過型電子顕微鏡を用いて調べて、外套膜原基が原殻の内面に付着することにより体管が形成されることを明らかにした(Isaji & Tanabe,in prep.)。さらに、棚部・佐々木は内外研究者と共同で頭足類の口球部器官、アンモナイト類の筋肉痕および体管の比較解剖学的特徴を記載し、系統学的意識を考察した(Tanabe et al.,1998;Tanabe & Fukuda,1999;Tanabe et al.,in press.)。 2.分子系統学的研究 遠藤と上島は、腕足動物の系統上の位置を明らかにすべく、ホウズキチョウチンのミトコンドリアDNAのゲノム構造を明らかにするとともに、遺伝子マップの決定されている他の動物門との比較を行った。その結果、腕足動物は前口動物の中でも環形動物と遺伝構造の類似性が高いことがわかった。さらに、他の研究者の成果を含めて総合的に検討した結果、軟体動物、腕足動物、環形動物からなるクレードでは、まず軟体動物の祖先が分岐し、ついで腕足動物と環形動物の祖先が分岐したという系統仮説が推定された(Noguchi et al.,in press)。 3.生鉱物学的研究 軟体動物における殻体形成の機構と起源を明らかにするため,遠藤は大学院生の更科と共同で、二枚貝ホタテガイの殻に含まれる主要な水溶性タンパク質(MSP-1)をコードする相補的DNAをクローン化し,MSP-1の全アミノ酸一次配列を決定した.その結果,このタンパク質が主にアスパラギン酸,グリシン,セリンの組み合わせから成る3種類のドメインが規則的に繰り返した特徴的な構造を持つことがわかった(Sarashina & Endo,1998).さらに,ドメインにおけるアスパラギン酸の配置の規則性と保存性に基づき、このドメインが方解石の特定の結晶面と特異的に相互作用して葉状結晶が形成されるという仮説を提唱した(Sarashina & Ebdo,in prep.)。
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