配分額 *注記 |
36,600千円 (直接経費: 36,600千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
1997年度: 20,300千円 (直接経費: 20,300千円)
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研究概要 |
超高速流体潤滑油膜の気液二相化現象を解明するために,油膜に作用する遠心力を考慮した新たな理論モデルを構築した。本モデルにより,気液二相化現象の発生メカニズムが明らかになり,超高速流体潤滑油膜の圧力,流速,密度,粘膜の各分布,摩擦トルク,線形ばね係数,線形減衰係数などの性能を予測することが可能となった。また,理論モデルの簡略化により,予測精度を落とさずに計算時間を大幅に短縮することが可能となり,様々な軸受仕様に対する油膜の静特性・動特性を容易に求められるようになった。 自動車用ターボチャージャーに多用される浮動ブッシュ軸受では,超高速回転域において浮動ブッシュとジャーナルの回転速度の比の低下が見られたり,理論的な安定限界をはるかに超える速度で安定に運転されるなど,従来の理論予測とは合致しない現象が観測されていた。しかし,本研究で構築した理論モデルを浮動ブッシュ軸受の内側油膜に適用することによりこれらの現象を合理的に説明することができ,浮動ブッシュ内側油膜における気液二相化現象が浮動ブッシュ駆動トルクの低下や安定限界速度領域の拡大を引き起こすことが明らかになった。 本理論モデルの実験的な検証を視覚的に行うために特殊ガラス製試験軸受を設計・製作し,これを最高回転速度10万rpmの超高速スピンドル試験機に取り付け,様々な実験条件の下で油膜の挙動を観察し,油膜の気液二相化現象の様子をデジタルハイスピードカメラに記録して解析した。軸が低速回転の場合には油膜破断は観測されなかったが,高速回転になると軸受端近傍の全円周にわたって油膜が軸方向に破断することを確認した。また,実験的に観測された定性的な傾向は理論予測値と良く一致した。
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