研究概要 |
ATM網上でのマルチメディアネットワーキング技術確立のために,以下の研究を行なった. 1 実時間動画像転送のためのネットワークサービス 実時間動画像転送に適したネットワークサービスを明らかにするため,ATM通信方式の提供する帯域予約型サービス(CBRサービスクラス)と統計多重型サービス(VBRサービスクラス)を比較し,帯域予約型サービスを用いることにより高品質かつ効率のよい実時間動画像転送が可能となることを明らかにした.さらに,帯域予約型ネットワークにおいて必須となる,特定ユーザによる帯域占有を防ぐための帯域分配制御として,課金構造の概念に基づくユーザ効用を考慮した資源割当制御手法を提案し,その有効性を示した. 2 実時間動画像転送に適したMPEG動画像符合化方式 帯域予約型ネットワークでは必ずしも要求した帯域が確保可能であるとは限らないことを考慮し,割り当てられた帯域内で可能な限り高い動画像品質を得ることのできる動画像符合化転送制御方式を提案した.さらに,動画像マルチキャスト通信においてネットワーク資源を有効利用しつつ複数のユーザが要求する動画像品質を同時に満たすため,従来よりも柔軟性の高い階層符合化手法を提案し,有効性を示した. 3 さまざまなユーザQoSを考慮した効率的な動画像マルチキャストプロトコル 帯域予約型ネットワーク上に構築された分散型マルチメディアシステムにおいて,それぞれ異なる品質の動画像を要求する複数ユーザに階層符合化動画像を効率よく転送するためのマルチキャスト通信制御を提案した.提案方式では,大規模ネットワーク内で個々のユーザのおかれるネットワーク環境はさまざまに異なることを考慮し,それぞれのユーザの利用可能な帯域に応じて送出する動画像を決定する.提案方式を用いることにより,サーバー複数クライアント間で高品質かつ効率のよい動画像転送が可能となる. 4 マルチメディア応用システム構築のためのQoS保証機構 高品質なマルチメディア応用システム構築のためには,ネットワークシステム/エンドシステムを含めた全てのシステムにおけるQoS保証機構が必要となる.そこで,帯域予約型ネットワークとリアルタイムOS(Operating System)が相互に連携することにより,利用可能なシステム資源の範囲内でできる限り高品質な動画像通信を実現するQoS保証機構を提案し,その効果を示した.
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