研究分担者 |
西山 勝彦 熊本大学, 工学部, 講師 (10202243)
松本 泰道 熊本大学, 大学院・自然化学研究科, 教授 (80114172)
谷口 功 熊本大学, 工学部, 教授 (90112391)
濱田 泰輔 熊本大学, 工学部, 助手 (10253717)
杉本 学 熊本大学, 大学院・自然化学研究科, 講師 (80284735)
|
配分額 *注記 |
38,900千円 (直接経費: 38,900千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 35,700千円 (直接経費: 35,700千円)
|
研究概要 |
(1)キラルルテニウム(II)錯体、△-[Ru(menbpy)_3]^<2+>(menbpy=4,4'-bis{(1R,2S,5R)-(-)menthoxycarbonyl}-2,2'-bipyridine)、△-[Ru(phenebpy)_3]^<2+>(phenebpy=4,4'-bis(1-phenethylaminocarbonyl)-2,2'-bipyridine),キラル銅(1)錯体、[Cu(tmdcbpy)(PR_3)_2]^+(tmdcbpy=4,4',6,6'-tetramethyl-5,5-bis(S)-(-)-l-phenylcarbamoyl-2,2'-bipyridine)を新たに合成した。これらは光ラセミ化しない優秀な光増感剤である。(2)△-[Ru(menbpy)_3]^<2+>は可視光照射下[Co(acac)_3]の立体選択的光還元反応を、また、[Cu(tmdcbpy)(PPh_3)_2]^+は近紫外光照射下で[Co(edta)]^-の立体選択的光還元反応をこれまでに無い高い選択性で行うことに成功した。特に後者では、転化率10%時でエナンチオマー過剰率は60%に達した。しかし、△-[Ru(phenebpy)_3]^<2+>は還元反応は行うが、選択性は見られなかった。(3)[Co(edta)]^-の光還元反応において[Cu(tmdcbpy)(PPh_3)_2]^+は高い反応性と立体選択性を示したが、キラル配位子は同じでもアニオン性のホスフィンを導入した[Cu(tmdcbpy)(PPh_2(C_6H_4SO_3))_2]^-は反応性も選択性も低く、反応機構も異なっていた。この結果は熱的反応とは逆の傾向であり、光化学反応の特徴が出ている。(4)[Cu(tmdcbpy)(PPh_3)_2]^+を用いてCoX_2(X=OAc^-,N0_3^-)とNa_4edta,H_4edtaから[Co(edta)]^-が近紫外光照射下で生成し、しかもエナンチオマー過剰率は小さいものの、Na_4edtaからは△体優先で、H_4edtaからは∧体優先で生成し、光不斉合成反応が実現出来た。(5)[Ru(menbpy)_3]^<2+>と[Co(acac)_3]をアセトニトリルー水中、塩基存在下、可視光照射すると、[Co(acac)_3]の全量はほとんど減らないにもかかわらず、∧-_[Co(acac)_3]のCDスペクトルが見られ、非常に稀な逆ラセミ化反応が進行していることが示された。その反応機構は[Ru(menbpy)_3]^<2+>の励起状態の[Co(acac)_3]による酸化的消光によることを明かにした。
|