配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1997年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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研究概要 |
生物の脳における動的視覚情報処理の仕組みを解明し,そのメカニズムを取り入れた情報処理システムの新しい設計原理の開発を目指した.このために特に高次脳機能の解明とその工学的実現に的を絞り,神経回路モデルを仲介とする合成的手法を用いて研究を進め,以下のような成果を得た. (1)複雑な背景を持った画像中から顔を見つけだし,さらに目や口に注意を集中してその形状を切り出す能力を持った神経回路モデルを構成した.(2)部分的に他の物体で隠されたパターンでも正しく認識できる神経回路モデルを構成した.(3)筆者が以前提唱したパターン認識システムネオコグニトロンを,実世界の手書き数字認識に適用するための研究を進めた.認識率は学習パターンの個数によって変化するが,例えば学習パターンが3000個の場合には,未知のテストパターンで98%以上の認識率が得られる.(4)第1次視覚野に見られる複雑細胞のように,最適刺激が受容野内のどこに提示されても反応する細胞を,自己組織的に形成させるための新しい学習則を提唱した.(5)地図のような空間パターンを,断片的な形で取り込み,その記憶をもとに広範囲の空間のイメージを次々と連続して想起する能力のある神経回路モデルを提唱した.モデルは空間内を移動しながら,以前に記憶した場所ではその地図を想起し,何も想起できない場合にはその周辺の地図を新しく記憶していく.(6)両眼視は奥行き情報抽出のための重要な手段の一つであるが,ほかの物体の陰になっていて片目だけしか見えない領域に対しても我々は奥行きを感じることができる.片目だけでしか見えない領域を含んだ物体に対しても適用可能な両眼視アルゴリズムを提唱した.
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