研究課題/領域番号 |
09308015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
核融合学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 秀樹 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005980)
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研究分担者 |
福元 謙一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30261506)
矢野 信三 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60005915)
山本 琢也 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50212296)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
35,000千円 (直接経費: 35,000千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1997年度: 25,500千円 (直接経費: 25,500千円)
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キーワード | 核融合炉材料 / イオン照射 / バナジウム合金 / 照射損傷 / 照射脆化 / スウェリング / 転位ループ / フェライト鋼 / ヘリウム / 格子欠陥 / ボイドスウェリング |
研究概要 |
自己修復機能は多かれ少なかれ、材料に備わっている性質である。この性質をいかにうまく引き出して活用するかの方策を探るのが本研究の目的である。既に照射によるスウェリングの減少が確認されているバナジウム合金の中性子照射材について、電子顕微鏡に取りつけたEDS装置、電子エネルギー損失スペクトロスコピー(PEELS)や電子線回折等を用いて、析出物の種類の同定を行い、これらの寸法分布、界面の整合性、他のシンクとのバランス、およびこれらの要素の照射量依存性を調べた。 析出物と母相との界面が点欠陥の捕捉位置となることにより、この界面を媒介にした自己格子間原子と原子空孔との対消滅が促進されることが、自己修復機能の機構として考えられる。但し、この機構のみでは照射量の増大によりスウェリングが減少するという現象を説明することは出来ない。この現象は析出物が照射誘起によりその密度が増大するということにより理解することが出来る。言い換えれば、その界面が間接的対消滅の位置となりうるような微細な析出物が充分な密度存在することが、自己修復機能発現のひとつの機構であるということができる。照射誘起により界面の密度が増大する場合には、照射の進行によりスウェリング等の値が減少することもあり得る。これが、従来の研究で見られていた照射の進行に伴い、一旦増加したスウェリングが逆に減少するという実験事実を説明しうる機構である。 析出物の効果に関する重要な成果として、FFTF/MOTAで予照射を行い、その後JMTRで照射したV-5%Tiに関する実験結果がある。FFTF/MOTAで約17dpa照射した試料中に観察されたTiO_2の析出物の組織、具体的にはその寸法と密度は、JMTRで同じ温度でわずか0.1dpa照射した試料中の組織とは殆ど区別が出来ない。つまり、この合金は0.1dpa以下で照射損傷組織は既に飽和して、それ以上の照射に対しては全く変化しておらずV-5%Ti合金中においては自己修復機能が極めて効果的に働いていることが明らかとなった。微細な析出物と母相の界面が効果的な再結合位置を提供していることが、この合金の自己修復機能発現の機構であると考えられる。このような析出物組織を照射下で安定に保つことが自己修復機能を高照射量まで維持する上で重要である。 このほか、超高圧電子顕微鏡中でのその場観察の方法により、高い精度で求めた点欠陥パラメータを用いて、別途開発した反応速度論に基づく計算により、自己修復の過程のシミュレーションを行い、実験と定性的な一致を見るなどの成果を得た。
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