配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
この基盤研究の目的は2種の光受容ニューロン間の遺伝的スイッチである核内リセプターSeven-upの作用機構を解明することであった. (1)遺伝的スクリーンによるニューロンの運命決定に関与する新規遺伝子の検索 Seven-upの複眼内異所的発現症状を優性に抑制する系統を検索し,21個の突然変異系統を単離した.このうちいくつかはras活性上昇とよく似た症状を示し,rasの抑制因子をコードすることが示唆された. (2)sprouty遺伝子の同定と解析 (1)で行った遺伝的スクリーンから,rasシグナル新規の新規抑制因子をコードするsprouty遺伝子を同定した.複眼発生過程では,Sproutyはレンズ予定細胞で細胞自立的にニューロン分化を抑制するほか,予定ニューロン細胞ではEGFアンタゴニストArgosの発現を抑制することにより,神経誘導を制御している.sprouty遺伝子の転写はSeven-upによって抑制されているため,Sproutyの発見により,Seven-upがrasシグナル抑制因子のカスケードを介してニューロンの種類と数を調節する分子機構が明らかになった. (3)Seven-upリガンド結合領域の機能解析 Seven-upのリガンド結合領域の転写調節活性を生体内で可視化する方法を開発した.その結果,Seven-upリガンド結合領域は転写抑制活性を有し,その活性は空間的・時間的に調節されていないことが判明した. (4)Seven-upによる転写抑制における基本転写装置との相互作用 Two-hybrid法を用いてSeven-upリガンド結合領域に結合する蛋白質を検索し,基本転写因子TFIIHのp52サブユニットを同定した.この結合の生体内での意義を探るため,Seven-upリガンド結合領域の過剰発現を行ったところ,発生過程の様々な細胞運命に変化することを見いだした.これは,TFHIIHのSeven-upリガンド結合領域との結合点が他の転写因子によっても共有されていることを示唆する.
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