研究課題/領域番号 |
09308031
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴崎 浩 京都大学, 医学研究科, 教授 (30037444)
|
研究分担者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (90212761)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90181297)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1997年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
|
キーワード | 歩行 / 感覚運動連関 / 視覚刺激 / 脳血流 / SPECT / 脳磁図 / 起立 / 脳磁場 / 非侵襲的検査 |
研究概要 |
パーキンソン病患者の視覚刺激による歩行障害の改善(矛盾性運動)を始めとし、視覚情報が歩行における感覚運動連関に重要であることを示す臨床的な知見は豊富だが、その神経基盤についてはよく理解されていなかった。われわれはこの3年間で、外側運動野・小脳を解剖学的基礎とする神経回路が起立・歩行運動の視覚運動連関において重要な役割を果たし、さらに矛盾性運動の発現に関わっていることを示した。 1.高齢者とパーキンソン病患者において立位課題、歩行課題、視覚刺激下の歩行課題に伴う脳血流変化をSPECTにて検討した。各5分間の課題開始時にテクネシウム製剤を経静脈投与して得られた脳血流像の解析により、課題によって有意に脳血流が増加した部位を検出した。高齢者は立位により小脳虫部・内側一次運動野・補足運動野・視覚野に脳血流の増加を示し、歩行課題により背内側前頭頭頂葉・小脳半球・視覚野などのさらに広い範囲に賦活を示した。パーキンソン病患者では補足運動野と小脳半球の歩行に伴う賦活が健常者に比べ乏しかった。一方視覚刺激に伴うパーキンソン患者の歩行の改善(矛盾性運動)に伴い、外側運動前野の賦活を認めた。正常な立位・歩行には内側運動野・視覚野・小脳活動の統合が必要であると考えられるが、さらに視覚刺激下の特殊な歩行の場合には、主に外的な刺激に対する運動に関わっている外側運動野の働きが重要であることが示された。パーキンソン病では、内側運動野と比べて外側運動野の機能が比較的保たれていることが、矛盾性運動の基盤にあると考えられる。 2.脳磁図を用いて、種々の視覚刺激に対する運動課題または運動を伴わない課題を遂行中の脳活動を測定することで、視覚運動関連の脳内処理過程を経時的に観察した。視覚刺激に対する運動課題では、後頭部・感覚運動野で背景脳波の反跳現象が観察され、視覚野と運動野の関係が密接であることが示された。また運動を伴わない単純な視覚刺激によって、前頭葉外側面に反応が誘発され、その反応は注意によって増強することが示唆された。視覚野から運動野への入力は常に存在するが、その入力は行動学的な意味により増強または抑制を受けるものと思われる。
|