研究分担者 |
大友 幸子 山形大学, 教育学部, 助教授 (40143721)
田上 高広 京都大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80202159)
山路 敦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40212287)
宇野 博 株式会社 鷺宮製作所, 開発課, 部長
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
井料 兼一 株式会社 エス・イー, 技術部・主査
大竹 雄次 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60282729)
中嶋 悟 東京大学, 地震研究所, 教授 (80237255)
|
研究概要 |
岩石の変形,岩石中の流体移動および間隙水を媒介とした物質移動は,地震の発生機構と地震予知,地球内部物質循環,地球環境問題など,学問的にも社会的にも重要性の高い問題と密接に関連している.地球深部条件下でこのような問題を実験的に研究するには,性能のよいガス圧式高温高圧変形透水試験機が必要であるが,わが国では本格的なガス圧式試験機はまだ開発されていなかった.本研究では,1,000℃以下の温度,300MPa以下の封圧と間隙圧,および変形が進行する条件下で高精度の変形・透水試験ができる装置を開発し,国内でガス圧式試験機が製作できる体制を作ることであった.高圧ガス保安法の規制によって圧力条件は220MPaにとどめざるを得なかったが,平成9年度には高温高圧圧力容器とガス圧発生装置を,平成10年度には油圧サーボ機構による軸荷重・封圧・間隙圧の制御システムを,本年度(最終年度)には内熱炉と内部荷重変換器を製作して,ほぼ研究の目標を達成することができた.本試験機は,封圧においては外国の試験機に劣るものの(高圧ガス保安法の規制により,より高圧を達成することは国内では困難),軸荷重・封圧・間隙圧の制御の性能において外国の試験機の性能をしのいでいる.その結果,パルス減衰法だけでなく,間隙圧振動法など,多彩な方法で幅広い透水係数の測定が可能になった.本研究で開発した試験機は,超臨界水中など,腐食条件下における多彩な材料試験にそのまま利用することができ,工業的にも多くの応用が期待できる. 本試験機を用いて,野島断層,中央構造線,柳ヶ瀬断層,中国帯のナップ境界断層,神縄断層の破砕帯の透水係数(N_2gas permeability)を圧力をサイクルさせる条件下で測定し,断層破砕帯の透水性構造を決定した.今後は,測定を他の断層破砕帯に拡張し,温度と変形の影響も調べて,地殻の透水性構造の全貌を明らかにしたい.
|