配分額 *注記 |
27,600千円 (直接経費: 27,600千円)
1999年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
1997年度: 16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
|
研究概要 |
本研究では,当研究室で提案している宇宙機械のための新しい潤滑法-トライボコーティング潤滑-のより実用に近い摺動要素への応用の可能性を評価するとともにその潤滑機構の解明を目的として研究を行った.得られた主要な結果は,以下の通りである. (1)本トライボコーティング膜が,宇宙機械で実用とされる接触圧力条件(0.5-2GPa)とすべり速度(5-65mm/s)において0.15以下の十分有効な低摩擦係数を与える. (2)インジウムのトライボコーティングにより与えられる摩擦係数は,従来の固体潤滑の値1/3の小さな値を与える. (3)トライボコーティングのその場供給により,半永久の寿命を保証できることをすべり摩擦実験において明らかにした.また,再トライボコーティングにより,より低い摩擦が得られる. (4)すべり摩擦において実用条件下でも有益と考えられる本潤滑システムの転がり軸受の応用の可能性を評価するための新しい装置の設計・試作及び性能評価を行った.本装置の仕様は,実際の宇宙機械に使用されている転がり軸受の仕様の調査結果に基づき,最も仕様頻度の高いサイズと駆動条件が実現できるものに設計した.この装置により摩擦係数の絶対値とその安定性及び低摩擦係数の半永久的持続の観点においてIn-situトライボコーティング潤滑法の真空環境中転がり軸受けへの応用の可能性を実証した. (5)さらに,トライボコーティング潤滑された転がり軸受けの良好な摩擦特性を実現するための球と内,外輪の材質,軸受け形状及び成膜条件を明らかにした結果,球に窒化ケイ素を用いたハイブリッド総玉軸受を用い,比較的低い成膜時の回転速度(10rpm)かつ比較的高い被膜供給率(50nm/min)で1回150nmのトライボコーティングを2回施すだけで,平均摩擦係数0.0015の安定した低摩擦係数を10^7回転まで持続させることができた.
|