研究課題/領域番号 |
09357022
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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研究分担者 |
和田 洋巳 (和田 洋己) 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (90167205)
松森 昭 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70135573)
熊谷 俊一 神戸大学, 医学部, 教授 (00153346)
廣田 喜一 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283606)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
28,000千円 (直接経費: 28,000千円)
1999年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1998年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1997年度: 15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
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キーワード | チオレドキシン / レドックス / 酸化ストレス / ELISA / トランスジェニックマウス / ADF |
研究概要 |
我々がATL由来因子(ADF)としてクローニングしたヒトチオレドトキシン(TRX)は、種々の酸化ストレスにより誘導され、細胞内では抗酸化作用や転写因子制御作用を示し、細胞外に放出されサイトカイン・ケモカイン様作用を示す。我々は酸化ストレスに曝された病態のモニターリングシステムとして、ELISA法により血清、血漿中TRXを測定した。 1.HIV感染患者において、血漿TRXは高値を示し、リンパ球中のグルタチオン量低下、HIV感染症の進行期に見られるリンパ球表面抗原の変化とも相関した。また、TRX高値のHIV感染者の予後は悪かった。 2.C型慢性肝炎患者において、血清TRX値は正常人に比し有意に増加していた。血清TRX値は、慢性肝炎から肝硬変へと病態の進展とともに高くなり、血清フェリチン値と相関した。さらに、TRX高値症例はインターフェロン療法に抵抗性を有した。 3.全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群などにおいて、血清中TRXは正常人に比し有意に増加していた。RA患者の関節液中のTRX濃度は、血清CRP値と有意の正相関を示し、変形性関節症等他の関節疾患患者の関節液に比し数倍高く、RAの活動度を示す指標になり得た。 4.酸化ストレスに曝される人工心肺を用いた心臓外科手術患者において、心臓に対する虚血再潅流後に血漿TRXが増加した。 5.ラット冠動脈虚血再潅流モデルにおいて、心筋TRXの発現は24時間後から上昇し、recombinant TRXの投与はNF-κBの活性や心筋組織内サイトカイン発現の抑制を介して再潅流障害を軽減した。 6.ラット中大脳動脈遮断による脳梗塞モデルにおいて、TRXは脳虚血中心部で減少し、辺縁部に高発現した。また、TRXトランスジェニックマウスで脳虚血巣が有意に縮小した。 従って、血清・血漿中TRX値の測定が酸化ストレスの指標として疾患の原因や病態解明に役立つ可能性と、TRX投与が酸化ストレス予防治療法に応用される可能性が示された。
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