研究課題
基盤研究(B)
3年間の最終年度にあたる本年は、主として、昨年度に実施した「学術研究に対する資金供給システムに関する実態調査」の分析作業を行った。1.回答者の基本的属性、2.グループ研究のタイプや研究のスタイル、3.現在の学術研究環境(実態及び希望)、4.計画している研究プロジェクトの規模やスタイル、5.研究費と研究成果との関連、6.研究成果の評価、7.自由記述、という7節からなる調査を分析した結果、以下のような知見を得た。1)平成9年度の年間研究費総額は、平成7年度及び8年度の研究費総額との相関が高く(いずれも0.1%有意)、同時に、専有している実験計測機器の金額や使用している研究スペース(平成9年度)との相関も高くなっていた(工学分野の研究スペース以外はいずれも0.1%有意)。この結果は、研究資源が重点的に投入されていることを示している。さらに因子分析を行ったところ、過去3年間の年間研究費と専有している実験計測機器の金額がある一つの潜在因子によって規定されているという結果を得た。2)研究費と研究成果との関係についてみると、「研究費が一定の水準に達しなければ優れた研究成果を得ることはできない」「研究費にほぼ比例して研究成果も増加する」「研究費が一定の水準を越えるとそれ以上研究成果は増加しない」という意見が多くなっている。また、理工系で高額の年間研究費を得ているケースでは「研究費がどれだけ多くなっても研究成果は増加しつづける」という意見がやや多くみられる。3)研究資源と研究成果との関連をみたところ、研究資源の投入量が多いほど多くの研究成果が多く、同時に、研究成果が多くなっているほど研究資源の投入量も大きい、という一般的な傾向が観察された。
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