研究課題/領域番号 |
09410087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
染谷 臣道 (染谷 巨道) 静岡大学, 人文学部, 教授 (20091548)
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研究分担者 |
松岡 悦子 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10183948)
伊藤 眞 (伊藤 真) 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (60183175)
片多 順 福岡大学, 人文学部, 教授 (90037052)
辻 秀子 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (30003114)
網野 房子 専修大学, 法学部, 講師 (10285075)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 文化人類学 / 健常高齢者 / 文化特性 / 地域的変異 / ポストモダン / 祖先祭祠 / 高齢者のボランティア活動 / 仏教伝統 |
研究概要 |
平成9年度は、十勝・釧路・旭川地方のアイヌ社会調査から、かつて健常高齢を促進する文化があったことを確認、また健常高齢者への尊敬の念が長寿促進要因であったことを確認した。しかし、同時に、この百数十年にわたる和人社会および文化への強制的組み入れによってそれが失われ、少数民族がしばしば遭遇している危機的な状況にあることを見た。他方、同じ少数民族ではあるが、沖縄では敬老精神が存続、生涯現役という考え方や助け合いの伝統がボランティア活動を生むなど長寿促進要因が機能しつづけている事例を見たが、大都市で見られるような伝統の喪失もすでに観察された。 平成10年度は、和歌山県における祖先と共に生きるという仏教的伝統と、それに結びついた社会性および社会的貢献を促進する要因、前向きの精神性が健常高齢に関与していること、山梨県では若い頃に得た知識技術および生活態度が健常高齢に結びついていること、福岡県では祖先と共に生きつつ、同じ文化を共有する友人たちと共に生き、転出した若者とうまく連絡を取り合って生きている健常高齢者、そして岩手県では孤立的な僻村という立地条件から以上のような伝統とは無縁の生活を強いられ、結果として依存的な生き方をしている高齢者を見た。彼らは大都市で見られるポストモダン的健常高齢者の対極にあると言えよう。 平成11年度は、近代化の影響が最も大きい東京・大阪で、伝統的な紐帯を保つことで健常高齢を全うしつつある一方で、高い流動性のなかで意図的に社会性を育成したり、退職後に新たな技芸を身につけ、その共通した技芸を通じ、あるいは共通の考えや趣味を通してコンサート、民踊、オペラなどを公演したり、趣味活動、政治運動などで社会性を獲得、ないし参加していこうとするポストモダン的現象が見られた。
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