研究課題/領域番号 |
09410117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
滿田 郁夫 (満田 郁夫) 明治学院大学, 文学部, 教授 (50062138)
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研究分担者 |
竹内 栄美子 千葉工業大学, 助教授 (00236415)
大塚 博 跡見女子短期大学, 教授 (30141170)
丸山 珪一 金沢大学, 経済学部, 教授 (50019262)
林 淑美 明治学院大学, 言語文化研究所, 研究員
木村 幸雄 大妻女子大学, 文学部, 教授 (50007291)
杉野 要吉 早稲田大学, 教育学部, 教授 (80079417)
古江 研也 熊本電波高等専門学校, 助教授 (90141960)
島村 輝 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (90216078)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 戦後転換期 / 中野重治 / 中ソ論争 / 新日本文学第十一回大会 / 原水禁世界大会 / 『甲乙丙丁』 / 日記 / 書簡 / 中野重治の文学 / 中野重治と戦後転換期 / 中野重治の思想 / 中野重治戦後日記 / 中野重治宛諸家書簡 / 中野重治書簡 / 中野重治作品年表 |
研究概要 |
中野重治は、その文学的出発にあたって「微小なるものへの関心」ということを言った文学者である。と同時に、石川啄木について論じて国家権力に敵対することを己に課した詩人である。以来、自分固有の世界、固有の視点を保ちながら、同時に「大きな物語」への鋭い関心を持ち続けた作家である。その人がその晩年に「戦後転換期」に際会して、世の変動に己の感性を全開して書き切ったのが長篇『甲乙丙丁』であるが、そこに至るまでに何を見、その心に何が生じ、同時代の政治・思想・文学とどう斬り結んだか、それを、残された日記・書簡などによって知ろうとした。 平成九、十年度で日記の第一次読み合せと、粗ら打ち込みは終了し、十一年度は第二次読み合せと註付けに入った、しかし平成十二年度にはそれを一旦中断して、一九六三年日記と六四年日記との精密な読みと註付けの作業に入った、研究年度が終った平成十三年度にもその作業は続き、しかもなお、我々がここに提出するのは未完成の「テスト版」に過ぎない。 一九六三、四年と言えば東京オリムピックを目掛けて、日本の社会が音を立てて変わって行った年々である。世界的には中ソ論争が起き、部分核停条約の評価を回って国内でも議論が始まり、新日本文学会第十一回大会は大いに揺れた。原水禁世界大会も分裂した。そうした事態に、全力を挙げて非妥協的に戦いつづけた中野重治は、自らが中央委員であった日本共産党を除名される。そしてその年末から『甲乙丙丁』が書き始められる。 そうした重要な時期を扱って、我々の研究がどれだけ核心に迫りえたか。忸怩たるものがある。これは我々の到達点ではなく、出発点である、そんな風に思っている。
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