研究課題/領域番号 |
09410125
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 京都産業大学 (1998-1999) 京都大学 (1997) |
研究代表者 |
大城 光正 (1998-1999) 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40122379)
吉田 和彦 (1997) 京都大学, 文学研究科, 教授 (90183699)
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研究分担者 |
吉田 和彦 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90183699)
河崎 靖 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40186086)
大城 光正 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40122379)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1997年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | ヒッタイト語 / 粘土板 / 弱化 / アナトリア祖語 / 音法則 / 破擦化 / 中動態 / 再帰小辞 / ヒッタイト法律文書 / 歴史言語学 / 母音交替 / 印欧祖語 / 法律文書 / 無声化 / 動詞形態論 / 書記 |
研究概要 |
古期ヒッタイト語のオリジナルの粘土板には、eあるいはiで終わる動詞語幹に-ziという語尾が続く例が少なくとも4例みられる。そこにみられる母音間のシングルの-z-は、弱化した破擦音を表していると考えられる。これらの例は、すべてアナトリア祖語の時期に^*-di (< ^*-ti)で特徴づけられていたために、ヒッタイト語の先史において*Iの前で*dが破擦化した根拠になる。 ^*dの破擦化は^*iの前でも起こったと考えられる。ヒッタイト語のsiu-"god"とsiuatt-(古期ヒッタイト語ではsiiuatt-)"day"は、歴史的にはつぎのように説明される。^*dieu->^*dziu->^*ziu->^*siu->siu-/syu/。^*dieu-ot-m/^*diu-t-es → ^*dieu-ot-m/^*dieu-ot-es>^*dieuod/^*dieuot- (このうちヒッタイト語では後に弱語幹がパラダイムに一般化された)>^*dziiuat->^*ziiuat->^*siiuat->siiuatt-/syiwat/。 ^*iの前での*dの破擦化は再帰小辞の先史にも観察される。アナトリア祖語の段階では、再帰小辞として^*-tiと^*-diの2つがあったが(後者は弱化規則によってつくられた)、両者ともヒッタイト語の先史になお存続していて、古期ヒッタイト語のma-a-ni-za "when-they-reflexive"とnu-uz-za "and-reflexive"は、破擦化と語末音脱落という音法則を受けているが、それぞれ^*-tiと^*-diを反映していると考えられる。また、ヒッタイト語の過去中動態に付与されている-tiという要素も、歴史的には^*sの後で破擦化を逃れた再帰小辞の^*-tiと関連づけられる。
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