研究分担者 |
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
菅野 孝史 金沢大学, 理学部, 教授 (30183841)
関口 英子 神戸大学, 理学部, 助手 (50281134)
高山 信毅 神戸大学, 理学部, 教授 (30188099)
齋藤 政彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
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研究概要 |
保型形式の研究において,種々の形のフーリエ展開(周期)や保型的L関数との関連で,球等質空間の球関数(新谷関数)の重要性が認識されてきた.本研究では,一般線型群,直交群やユニタリー群などの古典群の球部分群に対する新谷関数を中心に研究した.村瀬・菅野によりこれらが保型的L関数の解析的性質や特殊値の研究に有効であることが確かめられた.今後は,球部分群に付随する幾何的対称物を調べること,および新谷関数をp進対称空間のコホモロジーの言葉で解釈することが課題である. この問題を議論するために定期的にしたセミナーを開催した.さらに分担者と協力して,以下のような研究を行った. 1. 新谷が導入した原始的テータ関数の概念を局所的に再定式化し,局所原始的テータ関数の空間への1次元トーラスの作用の既約分解を与えた.更にこの結果をU(2,1)上の保型形式のフーリエ・ヤコビ展開に応用し,保型形式の数論的性質を調べた.志村理論との関係を調べることが今後の課題である.(村瀬・菅野) 2. 非コンパクト半単純り一群の最高ウェイト表現は,ドルボーコホモロジーの空間に実現されるが,この幾何的実現をZuckerman-Vogan導来函手加群の言葉に翻訳し,代数的手法によりその既約性及びK-type公式を証明した.(関口) 3. 代数的D加群に対する様々な凾手が理論的に具体的に計算可能であることを示し,それを実現するアルゴリズムを高山の開発した数式処理システムにインプリメントした.これにより連接D加群の制限,テンソル積,局所化,局所コホモロジー群等が計算可能になった.(高山) 4. アーベル曲面のファイバー構造を持つカラビ・ヤウ多様体に対してモーデル・ベイユ格子の理論を用いてある種の有理曲線に対するA-モデルプレポテンシャルが格子のテータ関数で計算される事を示した.さらに最近の細野忍,高橋篤史との共同研究で,種数の高い曲線についてもプレポテンシャルの形を予想した.(齋藤)
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