研究概要 |
1.研究代表者は, (a)概均質ベクトル空間(Spin_<10>×GL_3, 半スピン【cross product】Λ_1), (SL_5×GL_3, Λ_2【cross product】Λ_1)から得られる弱球等質空間を研究し, 付随する関数等式の計算に成功した。この空間は, 従来関数等式の計算にもっとも強力とされていたマイクロローカルカルキュラスの方法が適用できないケースであり、弱球等質空間の視点の有効性を示すことができた(筑波大学のグループとの共同研究)。(b)一般線形群以外の弱球等質空間の研究は不十分に終わったが、退化主系列表現の間のintertwining作用素に現れる積分を利用して関数等式を明示的に表す試みなどを行い, 次の段階のてがかりとなる示唆的な結果を得た。 2.分担者広中は, (a)p-身体上の球等質空間の球関数の明示式をかなり一般的に求めることができた。(b)これを利用してp-進体の不分岐二次拡大から定まるエルミート形式の空間の球関数を決定し、局所密度への応用を行った。(c)また研究代表者とともに, 剰余体標数が2でないp進体上の二次形式の局所密度の明示公式を完全に一般の場合に求めることに成功したが、広中はこの結果をさらに、(d)過剰体標数が2でないp進体上の(分岐する場合も含む)二次拡大体により定まるエルミート形式の場合に拡張した。 3.分担者荒川はSiegel保型形式に付随するKoecher-Maassゼータ関数を中心に研究し、(a)Koecher-Maassゼータ関数のJacobi形式への拡張, (b)Siegel Eisenstein級数のweightに関するp進的極限をとることにより得られるNagaokaのweight 1のEisenstein級数に付随するKoecher Maass級数の具体的に表示(ただし、次数が2の場合)、などの成果を得た。
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