研究分担者 |
幡谷 泰史 山口大学, 理学部, 助手 (20294621)
柏木 芳美 山口大学, 経済学部, 助教授 (00152637)
郷間 知巳 山口大学, 理学部, 助手 (70253135)
柳原 宏 山口大学, 工学部, 助教授 (30200538)
加藤 崇雄 山口大学, 理学部, 教授 (10016157)
岡田 真理 山口大学, 工学部, 助教授 (40201389)
|
研究概要 |
有限正種数の印付き開リーマン面Rが与えられたとき,同種数の印付き閉リーマン面のうち,Rからの正則写像で同相写像とホモトピックなものが存在するもの全体のなす空間Hの性質を考察した.この空間はタイヒミュラー空間Tの部分集合である.まず,種数が1のときHはTに一致するが,種数が1より大きいときにはHはTのコンパクト部分集合であることを示した.次に,Rを等角に埋め込ませるような同種数の印付き閉リーマン面の集合をMとし,MとHを比較した.明らかに,MはHの部分集合であり,種数が1より大きくて,Rが閉リーマン面から離散集合を除いて得られるリーマン面と等角同値であればMとHは一致する.対照的に,Rが縁状境界成分を持てば,MはHの真部分集合であることを証明した. 互いに同相なリーマン面R,Sと,RからSの上への同相写像hとが与えられているとき,次の二つの条件を考える: (a) RからSの中への等角写像でhとホモトピックなものが存在する. (b) RからSの中への正則写像でhとホモトピックなものが存在する. (a)から(b)が導かれることは自明であるが,シッファーの定理によれば,Rがモデュラス有限な平面型二重連結リーマン面である場合,逆も成立することが知られている.前段落で紹介した結果を応用して,Rが有限正種数を持ち,また,縁状境界成分を持てば,必ずしも(b)から(a)は従わないことを示した.
|