研究概要 |
楕円型方程式(I)方程式(E)-△u=|u|^<q-2>u x∈Ω, u(x)=0 x∈∂Ω に対して,次の定理を得た. 「Ω=R^N\B_R, B_R={x∈IR^N ; |x|【less than or equal】R}, 2^*<q<+∞(2^*は, ソボレフ型埋蔵H^1_0(Ω)⊂L^q(Ω)の臨界指数)とするとき, (E)はH^1(Ω)∩L^q(Ω)に属する(球対称)非自明解をもつ. 」1<q【less than or equal】2^*の場合には, 非自明解が存在しないことが既に知られており, 有界領域に対する既知の結果との双対性から, 予想されていた長年の未解決問題が肯定的に解決された有義は極めて大きい. (II)方程式(E)_λ-△u=λu+|u|^<q-2>u x∈Ω, u(x)=0 x∈∂Ωに対して: (1)Ω=Ω_d×R^<n-d>(R^Nの非有界柱状領域), q=2^*, d【greater than or equal】1, N【greater than or equal】4 とするとき, 任意のλ∈(0, λ_1), λ_1=inf_<v∈H^1_0>(Ω)‖∇u‖^2_L_2/‖u‖^2_L_2>0に対し, (E)_λは非自明解をもつ. この結果は, 有界領域に於けるBrezis-Nirenbergの結果の非有界柱状領域への拡張を与えている. (2)Ω=Ω_d×R^<N-d>, Ω_dをd-次元円環領域とするとき, q>N_d=2(N-d+1)/(N-d+1-2)ならば, (E)_λは非自明解(適当なクラスに属する弱解)を持たない. 2<q【less than or equal】2^*に対しては, (E)_λは非自明解をゆるすことが知られており, 2^*<q【less than or equal】N_dの場合が最近, 次のように解決された:(i)2^*<q【less than or equal】N_dの場合は, 解が存在し, (ii)q=N_dの場合は, 解が存在しない. 即ち, この事実から, 「領域のd次元対称性は, 実効的次元を(d-1)次元だけ減ずる効果をもたらす」ことが結論づけられた. (III)方程式(E)_1 -△u+u=a(x)|u|^<q-2>u+f(x) x∈IR^N, 2<q<2^* 0<a(x), |a(x)-1|【les
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s than or equal】Ce^<λ|x|>, λ>0に対して, ‖f‖_<H-1(R^N)>が十分小さければ, (E)_1は少なくとも2つの正値解をもつ. さらに, f=0かつq<2^*が十分2^*に近い場合, 正値解の多重性が係数関数a(x)の最大値与える点xのなす集合の位相的性質(カテゴリー)に支配される現象が発見された. この現象は, 今後の進展が期待される重要な課題となろう. 放物型方程式 (I)porous medium方程式の弱解のHolder連続性が良く知られていたが, 滑らかな(局所)解の存在については, 長く, 未解決問題として残されていた. これに対し, 大谷-杉山により, より一般的な方程式に対して, Lipshitz連続な時間局所解が構成され, ここで開発された, L^∞-エネルギー評価法を発展させ, C^∞(IR^N)に属する局所解の存在が証明された. 長年の大きな未解決問題が解決された意義は極めて大きい. (II) (E)に対する, 非定常問題に対し, q=2^*のときの解の漸近挙動の決定は, 未解決の問題として残されていたが, 今回, 次のような手掛かりが得られた. 「q=2^*, Ω={x∈R^N;|x|<1}かつ, 解u(x, t)は正値, 球対称でr=|x|に関して単調減少ならば, 解は有限時間で爆発するか, または時間大域的に存在して, 次をみたす. 「ある点列{t_n}が存在して, 測度の意味で|∇u(x, t_n)|^2-C_0δ(0) (n-∞). |u(x, t_n)|^<2*>-C_0δ(0) (n-∞)」この結果, critical case(q = 2^*)では, デルタ関数がsubcritical case(q <2^*)の場合の定常解に相当していることを示す意味で, 大変重要な示唆を与えているが, 技術的な強い仮定を要する点で不満が残る. 自然な仮定のもとでの解決が, 今後の課題となろう. (III)2次元有界領域でのKeller-Segel方程式(粘菌の生態を記述する走化性方程式)に対する初期値・境界値問題の大域解の存在が示された. 更に, 孤立爆発点で解はデルタ関数的な特異性を持つ事を示された. この事実からも, (II)における問題との楕円型方程式を介した密接な関連性がうかがえる. この視点からの今後の研究が望まれる. 隠す
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