研究分担者 |
梶原 健司 同志社大学, 工学部, 助教授 (40268115)
広田 良吾 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00066599)
長井 英生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110848)
小川 知之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (80211811)
福島 正俊 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90015503)
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研究概要 |
平成9年度には次の進展があった.まず,単振り子や非調和振動子などのセパラトリックスをもつ可積分力学系を広田差分法を用いて時間離散化した.離散系もまたセパラトリックスと離散版の保存量をもつが,セパラトリックスに対応する保存量の値は連続系の場合に完全に一致することが明らかとなった.また,1元の非線形方程式の反復解法であるSteffensen法を拡張して任意の収束次数をもつ反復解法を定式化した.新しい反復解法はHankel行列式の比を反復関数としている.εアルゴリズムの援用により計算量の増大を押さえることができ,Kepler方程式の解法では実際にsteffensen法より計算量が減少することを確かめた. 平成10年度には次の進展があった.算術平均演算と幾何平均演算の組み合わせで定義される算術幾何平均のアルゴリズムが第1種完全楕円積分を保存量とする離散時間可積分系とみなせることを明らかにした.この発見を出発点に,まず,類似の算術調和平均のアルゴリズムを定式化し,幾何平均へ2次収束性する離散時間可積分系であることを示した.さらに,初期値を負とした算術調和平均のアルゴリズムがBernoulliシフトの力学系に共役な可解カオス系となることを証明した.また,算術調和平均のアルゴリズムの拡張を論じ,対称な正定値行列の空間(凸性をもつRiemann多様体)上で初期値の平方根行列に2次収束するアルゴリズムを発見した.
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