研究分担者 |
佐官 謙一 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (70110856)
今吉 洋一 大阪市立大学, 理学部, 教授 (30091656)
小松 孝 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047365)
伊達山 正人 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10163718)
藤井 準二 大阪市立大学, 理学部, 講師 (60117968)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
フラクタルとは,位相次元を超えるハウスドルフ次元をもった距離空間上の図形をいう.このような図形の中で,とくに,自己相似性と概周期性をもったものがよく研究されており,本研究でも主にこのようなものを考察した.これらは,自然現象や社会現象の中に頻繁に見い出され,重要な研究対象となりうるものであり,応用も期待される.自己相似性は従来から,確率過程論やエルゴード理論の分野に自然な形で出現し研究されてきた.ブラウン運動は,その法則が1/2次の自己相似性をもった加法過程として特徴付けられる.また,エルゴード理論におけるある種の交換法則をみたす変換の組は,空間移動と自己相似変換の組の一般化と考えられ,その幾何的表現が結果として様々なフラクタル図形を作り出す.このような分野での従来からの研究も,フラクタルという観点から眺めると,新たな視野が開けてくる. 本研究はこのような視点に立って,確率過程とフラクタルを従来なかった観点から研究した.具体的には,フラクタル関数を見本過程としてもつ自己相似確率過程を定義し,この上の確率解析を行った.とくに,1/2次の自己相似性と0-エントロピーをもつ定常増分確率過程は,決定論的ブラウン運動と呼ばれブラウン運動との類似性もある.これをモデルとした予測の問題を研究し,一定の時間の観測にもとづく未来予測の推定量を構成した.これは,ブラウン運動の場合と比較してオーダー違いの高い精度をもつものとなる.さらに,複素力学系から得られるフラクタル集合の研究,自己相似次元が1/2と異なる加法過程の研究等も行った.
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