研究分担者 |
小椎八重 航 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20273253)
石原 純夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30292262)
遠山 貴巳 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70237056)
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60171485)
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30153696)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1997年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
遷移金属酸化物では強い電子間相互作用のため,電子の持つ内部自由度,スピン・電荷・軌道,がいったん分離しそれぞれ独立な自由度として振る舞い,特徴的な競合を示す.その結果,各自由度で対称性の破れが起こり,多彩な量子状態(相)が出現する.そのため,遷移金属酸化物の物質設計を行うためには個々の自由度の秩序及び素励起をとらえるための観測理論を構築することが第一歩である. 本研究では,先ず始めにスピンと電荷の自由度の素励起であるスピンとホロンの観測の可能性を考察し,一次元銅酸化物において角度分解光電子分光によりそれらをとらえることに成功した.これはスタンフォード大学及び東京大学の実験グループと共同で行われたものである.また,軌道の秩序をとらえるために共鳴X線散乱の理論を発展させた.さらに軌道が与える素励起でめるオービドンの観測のためにラマン散乱により初めてオービドンの検出に成功した.軌道が伝導性(電荷)及び磁性(スピン)の性質を支配することも明らかにした.La_<0.88>Sr_<0.12>MnO_3は高温(145K<T<171K,Tは温度)では金属状態で弱い強磁性を示すが,低温(T<145K)で強磁性絶縁体になる.この2種類の強磁性の出現と金属・絶縁体転移は軌道によることを明らかにした.すなわち,高温では軌道の自由度のエントロピーの効果で軌道が揺らいで金属状態を安定化させる.ところが温度が低下するとエネルギーを下げるために軌道秩序が出現し,それと同時にスピン間の超交換相互作用が強磁性を強めることになる.この軌道の秩序については共鳴X線散乱実験が上記の理論を用いて解析された. 以上のように,本研究により電子の持つ内部自由度であるスピン・電荷・軌道が等価に扱えるようになり,遷移金属酸化物の物質設計のための基礎が確立した.
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