研究課題/領域番号 |
09440133
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加倉井 和久 (加倉ヰ 和久) 東京大学, 物性研究所, 教授 (00204339)
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研究分担者 |
西 正和 東京大学, 物性研究所, 助手 (90156034)
中島 健次 東京大学, 物性研究所, 助手 (10272535)
藤井 保彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (00013524)
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1997年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 中性子散乱 / スピンエコー実験法 / 相転移 / 中性子錯乱 |
研究概要 |
この研究の目的は熱中性子スピンエコー分光法を発展させて相転移に伴う格子のダイナミックスの詳細な研究を可能にすることである。 1.この目的を達成するために以下のようなスピンエコー装置の開発、改善が行われた。 1)従来より短い波長、1=1.609Å、におけるスピン・エコー実験が可能になった。これにより7picosecから155picosecのダイナミック領域の測定を可能にした。 2)大きな波数Q=2.9Å^<-1>におけるスピン・エコー実験が可能なことが示された。 3)スピンエコー分光法の性能改善として、スピンエコー分解能を観測しようとする励起の分散関係にマッチさせるgradient coilの設置を完了し、原理的に作動することが確認された。 2.このgradient coi1の設置により分光器の磁場電流パラメターが多数になるために非弾性散乱スピン・エコー実験シミュレーション・プログラムが整備され、このプログラムを使用して以前実施されたSrTiO_3のフォノン線幅のテスト実験の解析が行われた。 3.以下の高エネルギー分解能準弾性散乱実験が行われた。 1)ドープした二次元三角格子系CuFe_<0.95>Al_<0.05>O_2の秩序したモーメントのスロー・ダイナミックスの検証が実施され、低温相では140psecの時間スケールで静的であることが明らかになった。 2)ヘリカル磁性を持つHoで磁気ブラッグ反射近傍において透過ビーム中でLarmor歳差運動の位相シフトが初めて観測された。これはヘリカル秩序の特長として現われるサテライト・ピークが一つのスピン状態のみをブラッグ散乱する事により起こり、中性子スピンのLarmor歳差運動が量子力学的には二つの異なるスピン波動関数の重ね合せであることを明らかにしている。 3)ガラス転移を示すPolybutadieneの大きな波数Q=2.9Å^<-1>におけるダイナミックスが測定され、これまでに測定された小さい波数Q=1.5Å^<-1>におけるダイナミックスとは異なる温度依存性を示すことが明らかにされた。 4.将来この熱中性子スピンエコー分光法を用いて相転移に伴う格子のダイナミックスの研究を行う意義がある物質として、スピン・パイエルス物質CuGeO_3及び電荷秩序系物質NaV_2O_5等の非弾性中性子散乱実験を実施した。
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