配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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研究概要 |
三宅島に8台,八丈島に2台,神津島と御蔵島に各1台のプロトン磁力計による全磁力,伊豆大島,三宅島,八丈島を結ぶ海底ケーブルを利用した電位差,三宅島において電話回線を利用した長基線電位差の諸観測を実施して,三宅島を中心とした海域における海流のダイナモ作用で発生する電磁場を調べた.海峡などと異なり開かれた海域では,海流を連続的にモニターする観測は行われていない.そこで一様な水深の平面大洋を往復する長波で潮流を近似し,円形の島が存在する場合に生ずる電磁場を理論的に求めた.また潮汐解析プログラムBAYTAP-Gを用いて,海底ケーブル電場や全磁力データから潮汐成分を分離した.モデルから予想される潮汐磁場は,観測と良い一致を示す.この潮汐磁場の振る舞いから類推して,三宅島で観測される黒潮の流路変動に伴う磁場は,主として北西-南東方向の電流で作られることを予想した.この予想は長基線電場観測で実証された.三宅島全体をセンサーとする長基線電場測定によって,三宅島周辺を流れる黒潮の平均的流向が把握できることになる.三宅島においてAFMT法による比抵抗探査を行った.黒潮誘導磁場は島の南側で大きいが,そこには海水が浸透しており,海流誘導電流が島の内部に流れ込むためであることが説明された.1995年以来の三宅島火山における電磁気観測によって,1996年7月から1998年9月にかけて山頂カルデラの南縁の地下で,熱消磁が起こったと推定された.これは1983噴火以降初めて,山体内部の温度上昇を示す情報である.また八丈島では250km北の柿岡に対して全磁力の経年変化がほとんど無いことが判った.これは1988頃から始まったようで,それ以前は柿岡に対して増加していた.一方三宅島では,上記2点の異常変化を除いて,相対的に全磁力が減少しており,これはマグマ溜りの膨張に伴う,ピエゾ磁気効果による可能性がある.
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