配分額 *注記 |
9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
この研究は以下の主要な3つの研究から構成された. 1.インデンテーション装置を製作し,引っかき試験を金属材料に対して実施した.この結果,圧子は水平方向の移動に伴って,沈み込んだり,浮き上がったり,複雑な挙動を示すことが分かった.また,観察された現象のモデル化を行い,シミュレーションを実施して実験結果と比較した.モデルはよく現象を説明する.特に注目したいのはすべり初めにおける摩擦力が,定常的なすべりにおける摩擦力より常に大きいという点である.これがマクロな摩擦における静摩擦を反映しているとすれば,「静摩擦は動摩擦よりなぜ大きいか」という問題への解決の糸口が得られたかもしれない. 2.東京大学地震研究所の2軸せん断装置を借用し,波動透過実験を実施した.すなわち,一定垂直応力下で加圧された断層にせん断応力を除々に加え,スティックスリップを発生させる実験において,人工的な弾性波を断層面に透過させ,スティックスリップに至る全過程での波動変化を観察した.この結果,(1)せん断応力がかなり低い段階から準静的すべりが発生すること,(2)透過波動の振幅はせん断応力の増加とともに著しく増大すること,(3)準静的すべりの開始にともなって透過波動の振幅の増加率は減少すること,(4)透過波動の位相もまた,準静的すべりの影響を受け変化すること,などが観察された.これらの事実は1の研究結果と合わせ,アスペリティ接触の接触状態の変化を強く反映したものと解釈される. 3.断層の幾何形状を人為的に操作し,さまざまな波長をもつ波動を透過して,波長と幾何形状のなす関係が波動透過率に及ぼす影響を調べた.この結果,従来提唱されてきた単一断層における波動透過率の理論は,透過波動の波長が,断層の幾何形状の代表的な長さの4倍程度以上の範囲で適用できることが明らかとなった.これらの基礎データは,断層の透過波動データを解釈で重要となるであろう.
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