研究課題/領域番号 |
09440163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
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研究分担者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
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キーワード | 化学トレーサー / オホーツク海 / 栄養塩 / 窒素同位体比 / ベーリング海 / アラスカ湾 / 高緯度海洋 / 水塊混合 / 溶存酸素 / 酸素同位体比 / 北部北太平洋 |
研究概要 |
本科研費を用いた研究は、主に次の2つの部分からなる。一つは、硝酸塩の窒素同位体比を用いた海洋表層における生物活動と水塊混合の履歴の解析であり、もう一つは、栄養塩の精密濃度測定に基づく中・深層水の移流混合過程の解析である。前者には、主にべーリング海やアラスカ湾で日本・カナダ間の往復貨物船により周年的に採取された表層水試料を用い、後者には、オホーツク海南部海盆域でロシア船を使って行われたCTD/RMS観測の試料を用いた。当科研費の大部分は、それぞれ窒素同位体比、栄養塩濃度の測定用の真空ラインの製作、栄養塩自動分析計の購入に充てられた。硝酸塩の窒素同位体比を用いた表層水の混合過程の解析では、硝酸塩の濃度-同位体比プロットにより、ベーリング海においては、アラスカ湾中央部よりも夏季の表層水の鉛直混合が活発である可能性が示唆された。栄養塩の精密測定による中・深層水の移流混合過程の解析では、特に硝酸塩とリン酸塩の濃度を用いた新たな化学量であるN^*(=([NO_<3->]-16・[PO_4^<3->]+2.9)・0.87)が、水塊の起源と混合過程の追跡に極めて有効であることを見いだした。このN^*は、通常は海中では変化せず一部の海域や海底泥中のみでおこる脱窒や窒素固定によってそれぞれ減少・増加する「準保存量」である。このN^*の分布をオホーツク海南部全体で詳細に求めたところ、海底・大陸斜面付近に底泥での脱窒によると見られる低い値を観測しただけでなく、中層(水深200-400m付近のいわゆる低渦位層)に沿って、大陸斜面上部からつながる顕著な極小値の貫入が認められた。これは北太平洋中層水の起源となるオホーツク海中層水が、「オホーツク海北西部の大陸棚(=低N^*域)で形成されて水平流出した水塊であること」の証明を与えるものである。
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