配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1997年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
気相の分子集合体(気相クラスター)の解離,蒸発,異性化などの緩和過程を実時間で観測し,少数かつ有限個の分子で構成された集合体におけるエネルギー散逸のメカニズムを明らかにすることを目的とした.具体的には,気相クラスター負イオンを対象として以下の研究テーマを行なった. 1.時間分解光電子分光法による励起状態の緩和過程の追跡 フェムト秒時間分解光電子分光法によって,光励起された(C_6F_6)^-_nの緩和寿命を実測し,この寿命が分子間振動モードヘのエネルギー再分配の速度を反映し,特定のサイトに位置する溶媒分子に対するエネルギー散逸時間の指標であると結論した. 2.光電子分光法とab initio計算を併用した電子構造・幾何構造の決定 (CO_2)^-_n,(CS_2)^-_n,[(CO_2)_nH_2O]^-,[(CO_2)_nMeOH]^-などの気相クラスター負イオン系に,異なる電子構造を持つ構造異性体,すなわち「電子構造異性体(electronic isomers)」が存在し,特定のサイズでそれらが共存することを明らかにした. 3.光ディプリーションー光電子分光法による構造ゆらぎの追跡 ある種のクラスター負イオンでは異性化のエネルギー障壁が極めて低く,例えば[CO^-_21・H_2O(CO_2)_<n-1>]【double arrow】[C_2O^-_4・H_2O(CO_2)_<n-2>]のような過程によって構造が揺らいでいることを,光ディプリーションー光電子分光法を用いて初めて明らかにした. 4.光解離における単分子溶媒効果の測定 電子過剰型ポリハロゲンI^-_3の光吸収スペクトルおよび光解離質量スペクトルを測定し,その電子構造を明らかにすると共に,励起状態の緩和ダイナミクスに極めて顕著で系統的な単分子溶媒効果(一分子が溶媒和したことによって引き起こされる溶媒効果)を見出した.
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