研究概要 |
昇華近接法により、2200〜2400℃の温度領域で得られた成長速度は40〜200μm/hの高速成長が実現できた。温度を変化させた場合の成長速度から活性化エネルギーを求めると成長圧力100Torr,10Torrにおいてはそれぞれ162kcal/mol,149kcal/molであった.基板にoff角をつけることにより,成長領域全面に鏡面性を得ることができた.<1120>off方向に向かってline-shaped shadowが見られたことから,成長がstep flowのメカニズムで促進されていることがわかった.形成した成長層は全面に4H-SiCが成長していることがラマン分光法により確認された.しかし成長層の膜厚が厚くなると成長層の端に{0001}面のfacetが現れ,さらに成長速度が速い場合にはこの面上には3C-SiCが成長することが分かった.成長圧力を変化させることによって成長層内のNの不純物が低減できることがラマン分光法,フォトルミネッセンス法,ショットキーダイオードのC-V測定から分かった.アンドープの成長層においては不純物濃度は7x10^<16>cm^<-3>まで低減できた.また成長温度を変化させることによっても不純物濃度の低減が可能であった.・原料にp形基板を用いた場合,フォトルミネッセンス測定によってAlの取り込みが確認できた.Ta坩堝を用いた成長では用いなかった成長と比較してgrowth pitの減少が確認された.今後,成長条件を変化させることによって最適条件を得ることが必要である.1 inchの6H-SiC単結晶上に成長した場合にはほぼ全面に6H-SiCが形成された.成長圧力を変化させて不純物濃度を低減した成長層を用いてショットキーダイオードを製作したところ最も低い圧力で成長した成長層で約40Vの耐圧が得られた.しかしこれは不純物濃度から求めた耐圧には到達していないために,今後ショットキーダイオード作製時の成長層表面の前処理やエッヂターミネーションを検討することによってより高い耐圧が得られるものと考えられる.
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