研究概要 |
本研究は高速大容量の情報伝送,処理など光エレクトロニクス応用に有用な小型で電気制御が容易な短パルス光源を生成できる電気光学的超短光パルス生成法の開発を進め、その可能な極限を追求をしようというものである。平成10年度における主な成果をまとめると以下のようになる. 1. 分極反転大振幅位相変調器,偏向器の改良と設計 周期分極反転による疑似速度整合を採用し,種々の構成の大振幅動作電気光学位相変調器,偏向器の開発を進めてきたが,今年度は,特に,小型実用化を目指し,光導波構造の導入も試み,パルス圧縮部も含めた一体集積化の可能についても検討を試みるとともに,実際,16GHz帯で動作する光導波構造の分極反転位相変調器を設計,試作し,バルク形に比べ格段に高い駆動効率の変調動作を確認した。 2. レンズ変調および偏向機能を併せ持つ新構成の大振幅位相変調器の開発とこれによる無背景光フェムト秒光パルス発生に成功 正弦波大振幅位相変調光には周波数のアップおよび,ダウンチャープの双方が含まれるため,群遅延分散回路によるパルス圧縮生成では,一方の周波数チャープ部しか圧縮されず,残りの半分の成分が背景光として残るという問題点があった。この点を解決するために,周期分極反転の形状をビーム断面方向に変化を付けることにより,位相変調器,あるいは偏向器の機能の他にレンズ変調機能も兼ね備えた新しい素子を考案し,試作,動作確認した.これを用いるとアップチャープ部とダウンチャープ部ではそれぞれ凸レンズ,凹レンズとなるため,光ビームの集光部にスリットを配しその位置を調整することにより,必要とする向きの周波数チャープ部のみを選択抽出できる.16GHzの変調周波数で実験を行い,外部変調では世界最短の520fsパルスを背景光フリーで生成することに成功した(98年ドイツで開催の超高速現象国際会議発表). 3. 数十フェムト秒パルスを目指すレンズ変調機能を伴ったファブリ・ペロー変調器の考案 本研究者が世界に先駆け開発してきたファブリ・ぺロー変調器をさらに数十フェムト秒域まで高速化しうる新しい構造のパルス生成器を発明,考案した(特願平10-258293号,CLEO'99発表予定)。
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