研究概要 |
1. 周期的内部構造を有する複合材料の時間依存変形に対する均質化理論を定式化した.この結果,擾乱変位速度が時間非依存の弾性成分と時間依存の粘性成分に分離された.また,ひずみ速度と応力速度の巨視的構成式および微視的応力の発展式が導かれた. 2. 上述の理論を一方向連続繊維強化複合材料の横方向クリープ変形および粘塑性変形に適用した.繊維方向の変位に対しては平面ひずみ条件を仮定し,繊維配列としては正方配列と六方配列を考えた.この結果,正方配列では変形挙動の異方性が極めて著しいのに対して六方配列ではほとんど等方的となることが明らかとなった. 3. 周期的内部構造が点対称性を有する場合の擾乱変位場の特性を議論し,擾乱変位はすべての点対称点で零となり,かつ点対称条件を満足することを示した.またこの場合,境界条件として点対称条件を使用することができるから,ユニットセルの一部の領域のみを解析すればよいことを指摘するとともに実例を示した. 4. 本理論を一方向連続繊維強化複合材料の非主軸負荷粘塑性変形に適用した.繊維配列としては六方配列を仮定した.この結果,非主軸角がわずかであっても粘塑性流動応力は大きく減少するが,非主軸角が45度を越えるとあまり変化しないことが明らかとなった. 5. 一方向連続繊維強化ハイブリッド複合材料GLARE2の実験結果を本理論に基づく結果 と比較し,上述の非主軸角依存性が定性的に成り立つことを確かめた.
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