研究概要 |
近年になりマルチメディアや光通信などの新産業が急速に普及し始め,それに伴いマイクロ非球面の光学部品などの需要も急激に拡大されている.このような微小な凹面の非球面形状を従来の縦型方式の研削スピンドルにより鏡面研削することは,砥石軸の剛性が得られないなどの理由で困難であった.そこで,本研究では砥石回転軸を工作物の回転軸に対して45゚傾ける方式の超精密研削システムおよびマイクロ砥石と単石ダイヤモンドツルアによるツルーイング法を開発し,微小な非球面形状の研削加工について可能性検証を行った.サブmmサイズのガラス成形用の型として用いられる超硬合金製非球面型を試作した結果,0.1μm以下の形状精度と0.03μmRmax以下の表面粗さが安定して得られることが明らかとなった. さらに,斜軸研削法において,砥石に関する各種誤差要因が加工形状精度に与える影響について検討した.砥石の上下方向のセッティング誤差,砥石の左右方向方向のセッティング誤差,砥石摩耗による砥石半径の誤差など影響についてシミュレーションを行った.さらに,この計算結果を基にそれらの補正法について検討し,実際に超硬合金製の非球面型を用いて補正加工実験を行い,補正効果について検証し,本補正法が有効に作用することが明らかにした. また,マイクロレンズが集積されたマルチアレーレンズのように,近似曲率半径が300μm程度と更に微小化が要求されているものに対しては,微小なカップ砥石による砥石のツルーイング法を提案し,砥石の微小化と非球面工作物の微小化について検討を行い,砥石周速が約1.7m/sの領域においても鏡面が得られ,本非球面加工法が有効に作用することを明らかにした.
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