研究概要 |
本研究は、先に我々が提案したVHF帯超音波の放射力を用いた超音波マイクロマニピュレータに、制御工学やロボット工学の分野で研究が活発に行われている視覚制御技術を導入し、微小機械やバイオテクノロジーの分野で有用なミクロンサイズの微小物体の高度なマニピュレーション技術を構築すると共に,微量液体中のミクロンサイズの微小物体の弾性的性質を個別的・選択的に評価する新しい超音波スペクトロスコピー技術の実現の可能性を追究することを目的として行ったもので、以下のような成果と見通しが得られた。 1. 微量液体中にビーム幅が狭く,音圧分布に谷のある進行波ビームを高いパワー密度で発生可能なマルチストリップカプラを用いた漏洩波トランスジューサを開発した。 2. 漏洩波トランスジューサと視覚制御技術を用いたマニピュレータを試作し、微小球の移送や捕捉を行った。 3. 微小球の運動は、その弾性的性質を反映した特徴的な運動を呈することが視覚制御を用いたマニピュレータの実験より明らかになり、本マニピュレータの微小物体のスペクトロスコピーへの新たな応用の可能性が見出された。 4. レーザピンセットと超音波マニピュレータを相補的に組み合わせたレーザ超音波マイクロマニピュレータ(LUMM)の提案と試作を行い,多数の微粒子の中から不要な微粒子を除去して特定の微粒子のみを捕捉することに成功した。 これらの成果の一部は,電気学会,電子情報通信学会,IEEE Ultrasonics Symposiumにおいて発表した。未発表の成果は問題点を整理し,今後発表していく予定である。
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