研究分担者 |
中村 敏明 海洋科学技術センター, 研究員
福島 正忠 仙台電波工業高等専門学校, 教授 (10280330)
赤松 友成 水産工学研究所, 研究員
松村 澄子 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30136204)
力丸 裕 同志社大学, 工学部, 教授 (90260207)
AKAMATSU T. National Research Institute of Fisheries Engineering, Researcher
NAKAMURA T. Japan Marine Science and Technology center, Researcher
三橋 渉 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (40017421)
蜂屋 弘之 千葉大学, 工学部, 助教授 (90156349)
奥島 基良 桐陰横浜大学, 工学部, 教授 (80016766)
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研究概要 |
本課題では,コウモリやイルカのエコーロケーションについて実際の生態観測を行う機会が少ない工学分野の研究者と,逆にエコーロケーションの仕組みについて興味はあるものの物理的側面からのアプローチへの手がかりがつかみにくい動物行動学を専門とする研究者が共同して観測を体験することによってそれぞれの立場からの総合的な検討を行うことを一つの大きな目的とした.各分担者は,扱う生物の種類によって,主としてイルカを扱うグループとコウモリを扱うグループの2班に分かれて通常の活動を行った.それぞれの研究成果ならびに検討課題については,インターネットを活用し,ネット上での意見交換ならびに討論を研究者相互間で広く行うこととして,お互いの情報を得やすい環境を整備した.しかしながら,離れた場所における意見交換ではその限界もあるため,全員が集合する会議を合計5回開催し,討論の充実を図ると共に本課題の大きな目的の一つに挙げているエコーロケーションの共同観察も全体会議と2回併催して大きな知見を得ることができた. これらの観測から考えると,生物ソナーは我々が現在実現している人工ソナーに比べて装置の小型さ,処理能力,柔軟度等その総合能力は格段に高いと認めざるを得ない.特に脳内におけるエコーの信号処理は我々が通常行っている視覚情報処理手法と比べて,時間情報をうまく利用しているという点で学ぶべき事項が多い.すなわち,彼らの脳内においては,時間周波数空間のいわゆるソナグラム的情報処理が末梢ならびに中枢で瞬時に行われ,その結果から周囲環境情報を得ていると考えられる.ヒトの聴覚に関する信号処理手法も近年注目されつつあるが,生物ソナーの工学的な応用への側面からも,今回の成果をふまえて,工学,動物学ならびに生理学などを包含した生物の聴覚信号処理のより一層の総合的な研究の展開が期待される.
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