配分額 *注記 |
11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
1999年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)を用いて合成された有機-無機複合体の柔軟性はTEOS-PDMSの配合比,触媒であるHC1及び加水分解のための水の添加量によって大きく変化することが分かった。柔軟で均一な複合体が合成できる組成域を検討した結果,出発原料の基礎組成成分はTEOS:PDMS:HC1:H_2O:Ca=1:1.64:0.1:3:0.1(モル比)と決定された。硝酸カルシウムおよびHC1の添加量は,原子-分子レベルのSi周囲の局所構造をほとんど変化させなかったが,縮重合反応によって形成されたバルク体の気孔径やカルシウム導入量に影響を与える事が明らかになった。カルシウムを多く含む試料は擬似体液中で溶出したカルシウムイオンが周囲の液のアパタイトに対する過飽和度を上昇させて生体活性を発現した。カルシウム導入量は硝酸カルシウムの添加量だけでなく,HC1の量によっても調節可能であることが明らかになった。 基礎組成成分のゾル溶液をNylon6【R!○】及びSilicone基板にディップコートした。膜厚は約1.5μmで,クラックはなく基板と接着していた。膜の基板に対する接着強度は約1.7MPa上であった。コーティング溶液にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し溶媒の急激な乾燥を制御することで得られた膜はアパタイトが析出した。 本系試料にシリコーンゴムの補強剤として知られるフュームドシリカを原子・分子レベルで複合化させたところ,AEROSIL【R!○】の添加によって多くのPDMSを導入てき,AEROSIL【R!○】を含まない試料に比べ圧縮強度は高く且つ柔軟な試料が得られた。生体活性評価によると,硝酸カルシウム添加量の多い組成では生体活性発現できることが分かった。 マウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を使用し,試料表面における細胞適合性評価を行った結果,培養後3日および7日における試料表面の細胞数は,いずれもシャーレ上で培養した細胞の細胞数(Blank)より高い値を示したが,Blankの細胞増殖が通常の10分の1程度であったことから,再度検討の余地がある。本系試料表面で細胞は増殖していることから,細胞を死滅させるような毒性は持ち合わせていないと考えられた。
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