研究課題/領域番号 |
09450278
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
武津 典彦 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80029355)
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研究分担者 |
大橋 照男 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70024263)
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (20292401)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1997年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | アルミナ / 水素溶解 / プロトン伝導 / 固体電解質 / IR吸収 / 同位体効果 / 水素センサー / 電気伝導度 / 酸化物 / スピネル / プロトン電導 |
研究概要 |
まず、従来から開発されていたペロブスカイト型プロトン導電体であるInをドープしたCaZrO_3について、高温での欠陥構造を調べ、その結果を用いて水素濃淡電池の起電力に及ぼす酸化物イオン伝導の効果を補正する方法を開発した。また、この方法を用いた水素センサーを試作し、実験室および金属溶解現場において溶融銅中の水素ポテンシャルの測定を行い、プロセス制御に利用可能であることを確認した。 ついでさらに高温で使用できるプロトン導電体の開発をめざして、まずマグネシウムアルミネートスピネル(MgAl_2O_4)中の水素の挙動について調査した。Al過剰のスピネルについてはIR吸収の測定よりOH伸縮振動の存在が認められ、水素がプロトンとして溶解することが確認された。IR吸収強度から水素量の溶解速度を測定し化学拡散速度を求めたところ従来のペロブスカイト型プロトン導電体に比べかなり動きにくいことが明らかとなった。電気伝導度の測定においてもH/D同位体効果が認められず、プロトンが優勢な電荷担体ではないことが明らかとなった。直流分極による実験からスピネル中では主要な電荷担体はマグネシウムイオンであることが明らかとなった。 大気中に溶解したアルミニウムには以上に高い濃度の水素が溶解するが、この現象は表面にできたアルミナの酸化膜による電気化学現象であることを確認した。この事実から、Mgをドープしたアルミナがプロトン導電性固体電解質として働いていることが予測された。そこでMgをドープしたα-アルミナ中の水素の挙動について調査した。IR吸収から、水素が可動のプロトンとして溶解していることが確認された。また、電気伝導度にも明確なH/D同位体効果が認められ、ある水素ポテンシャル領域においてプロトンが主要な電荷担体となっていることが確認された。IRで求めた溶解速度から決定した化学拡散係数と電気伝導度から推定したプロトンの濃度はMgのドープによって二桁以上増加していることが明らかとなった。偏光赤外線を用いて結晶の方向と吸収強度を調べた結果プロトンは酸素-酸素の距離が272pmの酸素八面体の稜に存在していることが明らかとなった。ついでMgを過剰に含む多結晶焼結体を用いて水素透過量、および水素濃淡電池の起電力測定を行った。その結果水素雰囲気においてMgドープのアルミナ中の水素の輸率は、1200℃の高温においても0.5以上であり、プロトン導電性固体電解質のなかで最も高温特性が良いことが明らかとなった。
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