研究概要 |
酵素反応とクロマト分離とを組み合わせた擬似移動層型反応分離装置の適用により,ラクトスクロースを高収率で製造するプロセスを開発することを目的として研究を行なった。 回分反応実験による酵素反応の速度解析の結果、ラクトスクロース生成反応がOrdered Bi Bi機構に従うこと、スクロースとラクトスクロースの加水分解が併発することを明らかにし、反応機構を決定し、反応速度を定式化した。イオン交換樹脂に固定化した酵素を充填した反応力ラムと中空糸型限外ろ過膜に酵素を封じ込めた反応器の2種類を用いて,反応実験を行ない、化学的固定化では、ラクトスクロース選択率が低下すること、限外ろ過膜を用いた固定化では反応器内が完全混合状態に近づき、溶液の場合よりもわずかに選択性が低下することがわかった。 シングルカラムでの破過応答実験を行い、各成分の吸着等温線と総括物質移動容量係数を決定した。 酵素溶液を用いる場合と固定化酵素反応器を擬似移動層装置に組み込み場合について,擬似移動層型装置での反応分離実験を行った。酵素溶液を用いた場合には,50℃でラクトスクロース選択率71%、収率は51%となった。樹脂に固定化した酵素を用いて50℃で実験を行なった場合,ラクトスクロース選択率は60%であった。 擬似移動層型反応分離装置の数値解析 酵素溶液を供給する場合と固定化酵素反応器を組み込んだ場合について検討し、擬似移動層型反応器の適用により,ラクトスクロース合成反応の逆反応はほとんど進行しなくなることが確認できた。固定化酵素反応器を組み込む場合には,反応器1カラムあたりの単通反応率を下げ反応力ラム数を増やすことにより,実験結果よりもさらに収率が向上すること,ならびに,膜型酵素反応器を使用する方が,収率が向上することが明らかとなった。
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