研究課題/領域番号 |
09450315
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究分担者 |
日比野 光宏 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20270910)
水野 哲孝 東京大学, 工学系研究科, 教授 (50181904)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1997年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 炭化タングステン / 過酸化水素 / プロトン伝導性 / ナノハイブリッド電解質膜 / マロン酸 / シュウ酸 / ジメチルマロン酸 / アルコキシル化 / アルコキシシリル化 / タングステン酸化物2水和物 / 活性化エネルギー / 層間水 / 水素結合ネットワーク / 過酸化水素水 / 13CNMR / X線光電子分光 / W-OW伸縮振動 / TOF質量分析スペクトル / プロトン導電性 / ペルオキソ錯体 / シュウ酸配位子 / アンモニウム配位子 / 硝酸配位子 |
研究概要 |
前年度は炭化タングステンと過酸化水素の反応により生じるタングステンペルオキソシュウ酸錯体などが高プロトン伝導性を示すことを明らかにした。今年度はこれら錯体を有機マトリックス中に埋め込むことにより化学的安定化を図り、無機クラスターを均一分散したナノハイブリッド電解質膜を作成し、それらの固体プロトン伝導体としての物性を評価した。 タングステン酸-水和物を40℃で過酸化水素と2時間反応後、過酸化水素を分解、濾過により淡黄色透明のタングステン酸ペルオキソ錯体均一溶液を得た。カルボン酸キレート配位錯体の場合は、この溶液にマロン酸、シュウ酸、ジメチルマロン酸などのカルボン酸をタングステンに対するモル比0.25-4.0の範囲で添加した。これらの溶液に再び過酸化水素を加え濃度5%とした後、アルコキシシリル化したポリエチレンオキサイドメタノール溶液と混合し60℃でゾルゲル重合した(PEO-シリカ系膜)。室温から160℃付近までの導電率を、飽和水蒸気圧条件下で交流インピーダンス法(測定範囲1MHz-1Hz)により測定した。PEO-シリカ系の膜は、室温〜120℃にかけて10^<-2>〜10^<-3>Scm^<-1>、80℃では1.4×10^<-2>Scm^<-1>のプロトン伝導度示す。この値は、例えば高プロトン伝導性酸化物として知られている、WO_3・2H_2Oを、直接PEO溶液と混合して調製した膜よりも10倍以上高く、均一系タングステン酸クラスターとして添加する手法は、導電率でも有利であることがわかった。140〜160℃でも、10^<-4>Scm^<-1>以上の導電率が得られた。マロン酸、ジメチルマロン酸ものは、高温での導電率の低下が抑えられる傾向が見られた。X線回折や赤外スペクトルの結果を総合すると、タングステン酸化物クラスターは長距離的秩序なく膜中に固定化されていることが示唆される。したがって、酸性無機クラスターが均一分散したナノハイブリッド構造を、水和したキャリアが伝導するために複合膜がプロトン伝導性を示すと考えられる。
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