研究概要 |
有機ヘテロ元素化合物は近年,有機合成化学の分野で重要な役割を果たしている。特に,光学活性有機ヘテロ元素化合物は種々の光学活性有機化合物の合成において高い選択性を発現することで注目されている。本研究代表者らは,これまでにいくつかの新規光学活性有機ヘテロ元素化合物を合成し,それらを用いる不斉合成反応を開発してきた。本研究では,フェロセンの面性不斉を利用した光学活性フェロセニルヘテロ元素化合物([Fe(η^5-C_5H_5)(η^5-C_5H_3R^*MX];R^*=CH(NMe_2)CH_3;M=Se,Te)の調製とそれらを用いた,アルケンのジアステレオ選択的分子内オキシセレノ化とアミノセレノ化反応について詳細な検討を行った。その結果,本法によりキラル含カルコゲン環状エーテル,ラクトン,ラクタムなどの光学活性複素環化合物を高い立体選択性で合成することに成功した。また,これらキラル化合物中のカルコゲン基を還元的に取り除く方法を作用させることにより,生成物の絶対配置を明らかにし,これら反応の機構に関する知見を得た。本方法を利用することにより,高次構造の光学活性有機化合物が効率的に合成できると期得される。
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